東京五輪・パラリンピック組織委員会の武藤敏郎事務総長(77)が12日、オンラインで職員に対する年頭あいさつを行った。都内から森喜朗会長(83)とともに発信。例年は組織委オフィスの各職場を役員が回るが、今年は感染拡大防止のためリモート実施に切り替えた。

今夏への大会延期が決まった後の、昨年の諸対応について「一致結束して、すべての結論を得ることができた」と職員をねぎらい「さすが日本の組織委員会は違うな、と誇れると思う。IOC(国際オリンピック委員会)にも準備状況を高く評価していただいた。まだまだ、やるべきことはたくさん残されているが、自信を持って大会準備に当たりたい」と決意を新たにした。

続けて、前日12日にIOCのクリストフ・ドュビ五輪統括部長から電話があったことを明かした。「2月のミーティング(IOCと組織委の合同事務折衝)で開催の可否を議論する、とのニュースが流れてきた。どういうことなのか」と尋ねられたという。それに対して武藤氏は「全く事実に基づかないフェイクニュースである、その続報も一切ありません、と答えた」とやりとりを紹介した。

その上で、不安を感じる職員や国民に向けて「事実ではないニュースが流れている、とIOCは心配している、と、この年頭あいさつで言いましょう。間違ったニュースであることを伝えましょう、と。そう相談したら『ぜひ、そうしてほしい』ということであったので、お話ししている」と、あえて触れた理由を説明した。

そして、世論調査の話題にも踏み込んだ。「中止と再延期を合わせると80%」と厳しい国民感情を示した上で「しかし、このような状況の中、不安を持たれるのは自然なことだと思う。そうクリストフも申し上げると『全くその通り』であると。我々は、全員で7月の開催方針を堅持して進めていくべき。今後いろんなニュースが出てくるだろうけど、出たとしても、そのたびに動揺しないことが大切。クリストフも『全く同感であると同時に、そういう方向で応援していくつもりなので、しっかりやってほしい』と言ってくれた」と明らかにし、職員に対して引き続きの開催準備継続を呼び掛けた。【木下淳】