空手の東京五輪組手女子61キロ超級代表の植草歩(28=JAL)が、全日本空手道連盟(全空連)の香川政夫・選手強化委員長(65)からのパワーハラスメント被害などを訴えたことを受け、全空連は3月31日に都内で倫理委員会を開き、香川委員長が竹刀を用いた練習を行ったことで、植草が目を負傷したことが事実として認められたと発表した。この日、双方からの聞き取り調査が行われた。

倫理委員会は書面で「竹刀を用いた練習は大変危険であり、どの練習においても全く認められるものではありません」と明言。この件に関して引き続き調査を進めていくとした。処分内容は4月に臨時で開催される理事会で決定する予定。処分が決まるまでは、香川委員長の連盟での活動を停止していくとした。倫理委員会は弁護士、外部有識者、全空連理事が各2人ずつの計6人で構成される。

植草の代理人を務める境田正樹弁護士は、日刊スポーツの取材に「迅速な結論が出された」との評価を口にした。午前からの植草のヒアリングが終了した直後には法的措置を取る可能性についても言及しており、「まだ処分内容は決まっていない。法的措置については引き続き検討していきたい」とした。すでに植草側は、警視庁南大沢署に相談している。

植草は約1時間半のヒアリング終了直後に「きちんと話をしてきた」と述べ、午後に2時間半以上の聴取を終えた香川委員長は「(内容については)委員会の方で話されると思う」と話すにとどめた。

関係者は竹刀を用いての練習について「手足の長い外国人選手対策として行われていた」と説明。その上で「竹刀ではなく、スポンジなど柔らかい素材のものを用いていれば、印象は違ったかもしれない」と話した。