サントリーが14シーズンぶり8度目のリーグ優勝を達成した。4シーズンぶりに古巣に復帰した男子日本代表主将、柳田将洋(28)、Vリーグ史上最長身218センチを誇るロシア代表のドミトリー・ムセルスキー(32)ら強力攻撃陣が躍動。前日の準決勝を制して勢いに乗るパナソニックを相手に3-0とストレート勝ち。28得点したムセルスキーは最高殊勲選手賞に輝いた。敗れたパナソニックは昨季に続き準優勝。

山村宏太監督体制1年目で、サントリーに待望の瞬間が訪れた。相手のスパイクミスで25-20。リーグ優勝が決まると選手、スタッフコート中央に集まり喜びを爆発させた。試合後のインタビューで柳田は「国内のリーグでこれといったタイトルを取れず海外に行ったけど、帰ってきて良かった」。大舞台を終えた表情は晴れやかだった。

ムセルスキーや柳田らの強烈なサーブで相手のディフェンスを崩して、1セット目から流れをつかんだ。最終セットこそパナソニックに先行を許したものの、中盤から引き離し25-20。ストレート勝ちで優勝を決めた。

レギュラーラウンドでは23連勝。16年ぶりに連勝記録を更新、勝率91・2%をマーク。破竹の勢いでリーグVまで上り詰めた要因は、選手たちの意識改革だ。

ドイツやポーランドを渡り歩いた28歳は主張する大切さを常々説き、若手選手が多いチームに浸透させた。開幕前には「指摘し合う環境がチームに足りなかった」と述べていたが、リーグ終盤には「自分から何かしたいと行動する人が増えている」と変化を実感していた。

それでも、苦難はあった。新型コロナウイルス感染者が出たことで、昨年12月に開催の天皇杯を辞退。2週間の自宅待機を余儀なくされ、ボールもまともに触ることができなかった。柳田も「プロとしてやっている以上、プレーできないことが1番しんどかった」。競技に打ち込める環境が当たり前じゃないと改めて感じたからこそ、リーグ優勝への思いが日増しに強くなった。

長丁場のリーグ戦を終えて、いよいよ東京五輪に向けて照準を合わせる。今後の熾烈(しれつ)な代表争いに向けて「まずは生き残らないといけない」と慢心はない。リーグ戦でしのぎを削ったライバルたちと代表で再会を果たし、メダル獲得へ突き進む。【平山連】