Xリーグのノジマ相模原が11日、元DeNA石川雄洋(34)の入団を発表した。プロ野球で16年間プレーして昨季で引退も、まだある体力で新たな挑戦を決断。横浜高時代から身近だったアメリカンフットボールに転向となった。通算118盗塁の足に、フライを捕るキャッチ力を生かし、WRとしてプレーする。初優勝に貢献することを胸に、まずは秋のリーグ戦で65人の登録メンバー入りを目指す。

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石川は力強く決意を口にした。「やるからには優勝を目指す。チームに役に立つプレーで、少しでも恩返ししたい」。プロ野球ではかなわなかった日本一へ向け、戦力として貢献するつもりだ。

売り物は2つ。1つは10年に36盗塁でリーグ2位となった快足。「スピードを生かしたプレーをしたい」。2つ目はキャッチ力。主に内野でプレーも外野にも起用された。「フライを捕るのに落下点に入るところは似ている」。大飛球ならぬパスレシーブ役のWRで入団となった。

正式加入は6月1日で、練習参加はまだ1回。それでも城ケ滝ヘッドコーチは「かなりスピードがあり、走り方もいい。球を追う能力は高い」と評価。石井GMも「ポテンシャルあり、戦力として期待」と言った。

異例の転向を決意したのは4月だった。3月の引退会見後、今後について1カ月考えた。「体はまだまだ動く。新しい挑戦をしたい。人生1回、ここでやらないと後悔する」と決断した。

アメリカンフットボールは横浜高の同級生に部員がいて好きになった。20代になって米アリゾナでの自主トレではNFL選手とも練習。「すごい能力。1回挑戦したい」と思っていたという。

最初の課題は「当たり負けない体作り」で、決断と同時に肉体改造、増量を始めた。選手は新人15人、全体で65人の枠が規定。背番号をもらえるのはメンバーだけ。「今は練習に全力で、集中したい」とプレーに専念し、ベンチ入りでの背番号獲得が最初の目標になる。【河合香】

◆転向メモ 元横綱3代目若乃花の花田勝(当時)が引退後、日本相撲協会を退職してアメリカンフットボールに挑戦した。01年にはノジマの前身となるオンワードスカイラークスに入団。LBとしてリーグ戦3試合に出場し、キッキングチームなどで数プレー出場した。12年にはラグビー元日本代表WTB山田章仁がRBとしてノジマ相模原に入団。キッキングのリターナーとして、リーグ戦では3試合に出場し、5回で84ヤードを獲得した。

◆ノジマ相模原 09年にクラブチームとして創部した。80年創部でオンワードが前身で92年には日本一。オンワードスカイラークス(日本一1度)、オンワードを経て、08年でスポンサーが撤退して解散。存続を願ったメンバーが中心となり新チームとして創設した。3部のX3から最短2年で1部のXリーグ昇格。11年に相模原で創業のノジマとネーミングライツスポンサーシップ契約。愛称ライズは公募で命名し、「陽はまた昇る」というメッセージが込められている。チームカラーはネービー、オレンジ。