17年世界選手権52キロ級銀メダルの角田夏実(28=了徳寺大職)が「日本人対決」を制した。決勝は初出場で19年世界ジュニア女王の古賀若菜(19=山梨学院大)と対戦。試合開始49秒に得意のともえ投げで技あり、3分30秒に横捨て身技で技ありを奪い、合わせ技一本で勝負決めた。途中、意表を突く背負い投げを披露するなど幅広い攻撃を見せた。初戦の2回戦から決勝まで5試合連続一本勝ちで、世界女王の称号を初めて手にした。

世界選手権で銀メダルを獲得して以降、周囲の期待が重圧となった。「勝ち」を追求し過ぎて、柔道を心から楽しめず、自身と葛藤する日々が続いた。19年9月に階級変更してから減量苦にも悩まされた。体重50キロからなかなか落ちず、コンディション調整に苦労して満足のいく結果が出なかった。「階級変更してまでもっと柔道をしたい自分がいる。できるところまで柔道をしたい」。こう決意して、重圧と戦いながら武器である寝技を磨き、成長を続けた。

今大会の準決勝では、角田と同じく52キロ級から階級変更した世界ランキング1位のクラスニチ(コソボ)に、ともえ投げで2度技ありを奪い完勝。五輪金メダル候補を撃破し、24年パリ五輪に向けて存在感を示した。大会が開催されたブダペストは、17年世界選手権決勝で同僚の志々目愛(27)に敗れた地でもある。新階級で世界女王となった28歳のベテランが、4年前の雪辱を果たした。