再び優勝候補に阻まれた。2大会ぶり10度目出場の仙台商(宮城)が東福岡に0-2でストレート負けし、準々決勝で涙をのんだ。3回戦は川内商工(鹿児島)との“せんだいダービー”を2-1で制し、同校初の8強で勢いづいた。熱戦から1時間後の一戦も、エース山元快太(はやと)主将(3年)を中心に挑んだが、1月の全日本高校選手権(春の高校バレー)優勝校に屈した。

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“全国で一番長い夏”とはならなかった。第2セット(S)、相手のマッチポイント。最後は山元がスパイクを放つが得点できず、敗戦が決まった。1月の春高では、準Vの駿台学園(東京)に敗れて8強。この夏も強豪私学に4強入りを阻まれ「ベスト4という壁にまた当たって、また乗り越えられなかった。率直に悔しいという気持ちが強い」と唇をかんだ。

高さと速さに苦しんだ。第1Sから190センチを超える2人のスパイクや速攻に守備を翻弄(ほんろう)され、サーブミスやスパイクアウトなども絡み9連続失点。相手に主導権を握られた。巻き返しのため、最高到達点347センチの山元にボールを集めたが、複数枚のブロックにあい、思うように得点は伸ばせず。千葉伸次監督(55)は「相手のブロックが高いので、それをすごく意識するのは仕方ない。ミスをして点数をやってしまったので流れが悪かった」と悔やんだ。

目標の日本一にはあと3勝足りなかった。それでも今大会は春高から残った主力メンバーが3人と少なく、当時控えの選手がコートで躍動した。山元は「今後の大会にも生きると思う。準々決勝は春高で負けた舞台でもあるので、新チームになって経験できたことは大きい」と前向きに捉えた。今後は国体や春高の予選に照準を合わせ、チーム一丸となって成長を図っていく。

大会前はコロナ禍で練習時間が減少するなどの不安要素があった中、2年ぶりに開催された夏の全国舞台で“仙商バレー”を見せつけた。「春高が終わってからも制限されながら練習してきた。モチベーションが下がる感じもしたが、インターハイがあることを信じて練習をしてきたので…。やっぱり勝ちたかった」。夏につかめなかった栄冠は冬につかんでみせる。【相沢孔志】