東京オリンピック(五輪)日本代表の佐藤希望(35=大垣共立銀行)が2年連続7度目の優勝に王手をかけた。

準々決勝までの3試合は全て15-7で圧勝。一転、準決勝では有望株の成田琉夏(専大)に粘られ、中盤まで10-10で並ぶなど一進一退の攻防となったが「どうやったら自分のシングルランプがつくか考えて仕掛けました」と、同時突きによる得失点が続く流れを切る。終盤に突き放して15-11で振り切った。

日本協会の新会長に就任したタレント武井壮も会場に駆けつけ、勝利の瞬間、拍手を送られていた。

3大会連続の出場となった東京五輪は個人戦だけ出て3回戦敗退。2回戦で韓国選手に15-14、続くエストニア選手との試合で10-15と敗れた。12年ロンドン大会は2回戦、16年リオデジャネイロ大会は8強の成績を残し、現在は2児の母として子育てしながら競技を続けている。

東京五輪後は「子供たちと夏休みを満喫しました。プール、バーベキュー、釣り堀…日焼けしすぎて皮がむけてます」と笑い「練習も全然してなくて、出場もホント直前に決めました。でも、私が出ないと女子エペだけ東京五輪代表の選手が出なくて盛り上がらないかもしれないし、忘れられちゃうかなと思ったので、出ることを決めました」とまた笑顔で話した。

現在35歳で、集大成と位置付けていた自国開催の五輪が終わった。競技へのモチベーションに関して聞かれると「いったん(東京に)ピークを持っていってしまったので。正直、パリ(24年五輪)に向けてという思いは持てていないんですけど。子供からは『パリまでやって』と。やめることが想像つかないみたいで」と男児2人から、さらなる現役続行を求められていることを明らかにした。

全日本選手権は旧姓の中野時代に3度、結婚後に3度の日本一を誇る。10月3日の決勝(LINE CUBE SHIBUYA=渋谷公会堂)では、19年大会優勝の原田紗希(21=慶大)と対戦する。「今日も下の子(次男)が神社にお参りに行ってくれて、動画を送ってくれたので負けられないなと思っていました。今日は体力的に、めちゃくちゃきつかったですけど、決勝は1試合。女子エペ最多7度目の優勝を狙います!」と、いつもの明るい口調で宣言した。【木下淳】