ショートプログラム(SP)首位発進の坂本花織(21=シスメックス)が「ボロボロ」の優勝を飾った。

フリーは3回転フリップでのオーバーターンに加え、後半の2つのスピンで基本姿勢を満たさないミスで、レベル1の判定。さらに演技時間を2秒オーバーして減点1までついた。得点は120・12点、合計192・14点で優勝はしたが、「もう、うーん、これ以上ないボロボロをしてしまったのひと言」。演技終了直後に時間オーバーを確認すると、ガクッと肩を落とした。

苦しんでいる。新フリー「No More Fight Left In Me/Tris」。オフ期から悩みながら、先週のジャパンオープンの前に挑戦することを決めた作品だが…。「(表現したいのは)大きく大人の女性とまとめているんですけど、正直自分もなりきれてないし、どう表現するかが試行錯誤している途中。本当に早く見つけないといけないと思うし、なんだろう…。わかんない、難しいです」と答えが見つからない。

その中での滑りだった。「やり込めていない部分がある」。振り付けのリショー氏も来日して指導を受けているが、悩みは深い。「厳しい状況のなかで日本まできてブラッシュアップしてもらい、試合でしっかりしてこその成果。それを今回できなかったのは悔しいし、次はやりたい、次の試合まで頑張りたい」と気丈に話した。

連戦は続く。22年北京五輪プレ大会となるアジアンオープントロフィー(北京)に出場するため、12日午前には出国する。「中国で試合をしたことがなくて、プレの試合もあり、出たいなと思ったのが一番。抱負は今日の自分に勝つことです」。試合をこなしながら、急ピッチで答えを探していくしかない。