今月1日に就任した男子代表の鈴木桂治監督(41)は初陣を終えた。男子は計12人が出場し、全7階級で4階級を制した。

今大会は東京五輪直後の大会でもあり、各国の大半の五輪メダリストらは不参加。日本を含めて24年パリ五輪を狙う2、3番手選手中心の参加となった。鈴木監督は、コロナ禍で東京五輪代表を追う選手への出場機会を増やして、より競争心を促すために海外の国際大会では異例の12人を派遣。“秘策”なのか、練習パートナーで五輪2連覇の故斉藤仁さんの次男で、100キロ超級の立(たつる、国士舘大)も帯同させたほどだ。

パリ五輪開幕まで3年を切り、鈴木監督は出国前に「やりたいこともあり、焦りもある」と言っていた。結果的に4階級は制したが、60キロ級の古賀玄暉(旭化成)や90キロ級の村尾三四郎(東海大)は3位決定戦で敗れ、あと1歩でメダルを逃した。100キロ級と100キロ超級の重量級3選手は、まさかの初戦の2回戦敗退に終わった。パリ五輪で目標とする全7階級と男女混合団体で金メダルを獲得するためには「重量級の再建」が必須。鈴木監督自身が東京五輪までの9年間、重量級コーチを務めていただけに、その思いは強く「世界で戦うだけでなく、金メダルを取る選手を強化する」と気合も入っている。

コロナ禍の影響で海外勢との実戦不足も否めないが「ワンチャンスをものにしてほしい」と選手に期待する41歳の指揮官にとって、課題と収穫が見えた実り多きパリ遠征になったはず。勝ちにこだわる鈴木ジャパンの新たな一手に注目したい。【峯岸佑樹】

以下、選手の結果

▼60キロ級 古賀玄暉(旭化成)5位、永山竜樹(了徳寺大職)欠場

▼66キロ級 田中龍馬(筑波大)優勝、藤阪泰恒(パーク24)準優勝

▼73キロ級 橋本壮市(パーク24)2回戦敗退、原田健士(ALSOK)優勝

▼81キロ級 藤原崇太郎(旭化成)3位、佐々木健志(ALSOK)優勝

▼90キロ級 長沢憲大(パーク24)優勝、村尾三四郎(東海大)5位

▼100キロ級 飯田健太郎(旭化成)2回戦敗退

▼100キロ超級 佐藤和哉(日本製鉄)2回戦敗退、小川雄勢(パーク24)2回戦敗退