2大会連続五輪を狙う坂本花織(21=シスメックス)が、2連覇で3年ぶりのGPファイナル(12月、大阪)進出を決めた。

SP首位で迎えた最終滑走。難度の高い表現に苦しみ続けた新フリーを終え、氷に膝をついた。ジャンプは全て着氷。演技構成点は「音楽の解釈」で9・04点(10点満点)と成長を証明した。「正直、1カ月前の状況から見て、今日みたいにできるとは全く思っていなかったです」。今季世界7位の合計223・34点を喜んだ。

滑ることで強くなった。10月初旬からは国内での2連戦を志願し、北京、ラスベガスと4週連続で試合に出た。「これ、大丈夫かな?」。最初は不安だったが、帰国後の隔離期間も朝、夜の練習でSP、フリーのミスなしをノルマにした。

4季前、6位入賞を飾った平昌五輪は高校2年で臨んだ。神戸学院大に進学し、今は1人暮らし。女子の中堅となり「『10代の時の機敏な動きはどこへいった』ぐらい」と笑うが、タフであり続ける理由がある。

「夜、風呂にしっかり浸かる。しっかり寝る。朝ご飯もしっかり食べる!」

風呂は時に1時間。朝食はきのこのソテー、サケと野菜のホイル焼きなどを前夜から準備することもある。連戦に耐えられる体が、坂本の強さの根底にある。

次の照準は3年ぶりとなるGPファイナル。北京五輪に向けても重要な場だ。

「集中力も切れず、ここまで来られた。連戦で良かったです。ファイナルでは今回以上の点数が出るようにしたいと思っています」

唯一無二の財産を胸に、高みを目指す。【松本航】