ラグビーのトップリーグに変わる新リーグ「リーグワン」がスタートした。最も早くキックオフした“開幕戦”で白星1号を狙ったコベルコ神戸スティーラーズ(旧神戸製鋼)はまさかの黒星。後半ロスタイムのトライで1点差と迫りながら、逆転を狙ったキック(2点)が外れる、悔しすぎる初戦となった。

後半ロスタイムにドラマが待っていた。6点を追う神戸は、途中出場のSH中嶋がトライ。23-24。一進一退の80分間を見守ってきた6120人の観衆は勝利を確信したように沸きに沸いた。しかし-。決まれば劇的な「逆転サヨナラ」だったSOクルーデンのキックはポールの外。大きなため息とともに、ノーサイドの笛がなった。目前にあった新リーグ一番乗りの白星が、するりと逃げた。

下馬評は昨季TL5位で、優勝候補の一角とされる神戸が有利。開始早々、CTBバックマンが記念すべき新リーグ第1号のトライを決めた。だがその後は昨季TL9位の浦安が相手陣内に攻め込んだ。ディロン・ヘッドコーチは「いくつかの大事な瞬間で求めている結果につなげられなかった」とミスを敗因に求めた。開幕戦の重圧は感じなかったという。

新リーグ発足にあたり、各チームは例年に増して強化を進めた。ゲームキャプテンのフランカー橋本皓は「各チームの補強の発表を見て、楽なゲームはないという印象があった」と明かす。神戸にも日本代表プロップ具が加入したが、故障明けのため後半からの出場。主将のプロップ橋本大、CTBラファエレらを欠きベスト布陣を組めなかったとはいえ、浦安に力負け。群雄割拠の新リーグを予感させる大接戦だった。

神戸は03-04年にトップリーグの初代王者に輝いており、リーグワンでも初代の栄誉を狙う。指揮官は「苦しい展開の中で、最後にキックを決めれば勝てるところまでもっていった。一体感はあった。ポジティブに考えている」と、うなずいた。厳しい船出となったが、まだまだ巻き返しのチャンスはある。【柏原誠】

◆リーグワン 3部制で全24チーム。1部は5月8日までリーグ戦16節を戦う。TL時代の16から減った12チームがA、Bの2組に分かれ、同組内で2回戦総当たり、別の組とは1試合ずつ交流戦として対戦。付与される勝ち点は勝ち4点、引き分け2点、負け0点で、7点差以内の負けは1点、3トライ差以上の勝ちは追加で1点が付与される。5月に、勝ち点の上位4チームによるプレーオフトーナメントで初代王者を決定する。