「ウチムラ」なき競技人生こそ誇り-。

体操男子でオリンピック(五輪)個人総合2連覇の内村航平(33=ジョイカル)が14日に都内で引退会見を開いた。

体操では初めて新技を成功させた選手の名前が技名としてつくが、競技人生30年で「ウチムラ」はなかった。理由は…

「名前がついてない中で引退しましたけど、逆にそれもありかな。それだけ個人総合を誇りに思ってやってこれた証明になる。それはそれでいいかな。技名1つ残すよりすごいことをやってきた。そこに誇りを持てている」

6種目で争う個人総合こそが体操だとこだわってきた。だからこそ、あえて新技に固執しなかった。

「未発表の技はもちろん何個かあります。やれば確実に名前が付いていましたけど、個人総合でトップを維持するためにその技をやめた。必要ないのでやらなかった」。

例に挙げたのは跳馬の「シライ/キムヒフン」。13年の世界選手権で跳馬で白井健三が成功させ、名前が付いていたが、10年の全日本選手権の種目別でウチムラも跳んだことがあった。

「僕が最初にやっているので、健三に取られた技ですね(笑い)。実際、あれは本当に難しい技で、あれを個人総合でやろうと思ったけど、この技は個人総合でやる上で安定させるのは難しいと判断したんですけど、3年後にそれを軽々跳ぶぼうずが現れたので、どうなってるんだと。悔しい、取られたより、本当にすごいんだなと見てました」と笑顔でたたえた。