伊藤美誠(21=スターツ)が女子シングルスで3年ぶりに女王に返り咲いた。

早田ひな(21=日本生命)に4-1で勝利し、3度目の優勝。早田と組んだ女子ダブルスに続く2冠で、東京五輪混合ダブルスで金、女子団体で銀、シングルスで銅メダルを獲得した実力を発揮した。男子シングルスは戸上隼輔(20=明大)が松平健太(30=ファースト)を4-2で下し、初優勝。男子ダブルスと合わせて2冠を達成し、24年パリ五輪のホープとして名乗りを上げた。

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伊藤らしさを取り戻しての優勝だった。持ち味の多彩なサーブ、レシーブで早田を惑わせる。第1、3ゲームでは7連続得点を挙げるなど終始、圧倒した。木原美悠の発熱で準決勝は不戦勝。この日の初戦が決勝で「大事な出足から自分らしいプレーを意識し、それができた」。4年連続の直接対決は2年前を除き、伊藤が制した形だ。

東京五輪で躍進した後は苦しんだ。同11月、世界選手権個人戦(米ヒューストン)のシングルスでは8強止まり。「1点取るのも苦しくて。漢字1文字にすると五輪までの『楽』から『迷』になった感じだった」と語っていた。

多彩な「技のデパート」は健在で「世界選手権があったからこそ、いろんな種類のプレーを出す自分らしさを見つめ直すことができた」と語った。「良いライバル」という早田との親友対決を制し、3月から始まるパリ五輪選考会へ盤石をアピールした。