“未完の大器”が完成に近づく。昨年12月、特別指定選手として4シーズンぶりにB2山形ワイヴァンズに帰ってきた斎藤瑠偉(22)が、プロの舞台でさらなる成長を誓った。チームの2年連続プレーオフ進出、念願のB1昇格に向け、新戦力が地元山形でブースターに勝ち星を届ける。

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チームに合流しておよそ2カ月。斎藤は「オフェンスもディフェンスも1つ1つのプレーが細かいと感じています。めっちゃ考えます」と、大学とプロの違いを実感している。第23節終了時点で8試合に出場し、プレータイムは1試合平均9分12秒。徐々にプレータイムは伸びているが、自身の働きを「全然ダメ」と評価。「オフェンスでの状況判断はできるようになってきたと思います。でも、まだ全然足りないので、もっと試合に慣れて覚えていくしかないです」と振り返った。

チームは19-20シーズンが東地区6位。昨季はプレーオフに出場したものの東地区5位。この成績に斎藤は、「正直、B2の中では真ん中ぐらいだと思います。去年やその前はけっこう低いところにいたチームだと思うので、チーム全員で強くなりたいです」と語った。そのために斎藤が目指すのは「周りを生かすプレー」だ。「自分が中に切り込んでいってディフェンスを引き寄せてノーマークの人にパスを出す、アシストのプレーをしたいです」。1試合平均3アシストを超える同じポジションの中島良史(31)や村上駿斗(26)から吸収し、チームの持ち味である3点シュートを最大限生かしていく。「僕が一番若いので、アグレッシブに元気よくプレーして、チームを勢いづけられるような選手になりたい」。最年少ルーキーは、チームの起爆剤になることを目指している。

休日は趣味の釣りを楽しんでいる。週に1度のペースで釣りざおを握り、兄から釣りの技術を盗んでいる。「自然の中で、自然と一体になる感覚があって良い息抜きになります。心が落ち着きます」。釣りがバスケットのモチベーションにつながり、メンタルトレーニングにもなっている。斎藤は「いろんな釣り堀に行きたいですね。日本全国の釣り堀に行きたい」と意欲的。バスケットも趣味も、全力で楽しむために技術向上に余念がない。斎藤は「(プロの試合に)早く慣れて、少しでもチームの力になりたい。まだまだです。これからです」と、より高い目標を見据えた。若さあふれるプレーでチームを鼓舞し、勝利を釣り上げる。【濱本神威】

◆斎藤瑠偉(さいとう・るい)2000年(平12)2月6日生まれ。山形県酒田市出身。羽黒高-専大在学中。高校3年の17-18シーズンに特別指定選手として山形でプレー。18年、FIBA3×3 U23W杯に日本代表として出場し、世界1勝に貢献した。191センチ、86キロ。