【モンペリエ(フランス)23日=松本航】フィギュアスケートの世界選手権が開幕した。男子で初優勝が懸かる宇野昌磨(24=トヨタ自動車)は22日(日本時間23日)、本番会場で初練習。4月に中京大へ入学する北京五輪銀メダルの鍵山優真(18=オリエンタルバイオ/星槎)と練習し、後輩を参考にした“局所集中トレ”で状態を上げてきた。男子ショートプログラム(SP)は24日に行われる。

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銅メダル2つの北京五輪から1カ月が過ぎた。優勝候補の1人として現地入りした宇野の表情は、充実感に満ちていた。「練習に関して、これ以上ない、思い残すことない、やり切ったという自信があります」。SP「オーボエ協奏曲」をかけての通しでは、2本の4回転などジャンプを全て降りるなど、体は軽快だ。

“教科書”は後輩だった。北京から帰国後、中京大で共に練習する6歳下の鍵山を見て考えを改めた。7つのジャンプがあるフリーの練習時、従来は全体を通すことにこだわった。今季は4回転4種5本の高難度構成に取り組むが、今大会からは将来を見据えて、4回転フリップを演技後半に戻す。その過程で序盤を飛ばし、フリップを含めた中盤以降を集中的に取り組んだ。疲労の軽減で怪我も予防され「自分のやりたいことの前に体力が尽きてしまうことも多かった。ノーミスが偶然ではなく、3回に1回ぐらいはできる確率になった」と成果が見えた。

3連覇中のチェン(米国)が欠場する今大会。鍵山とともに初優勝への期待が膨らむが「結果を残すというよりも、この練習をしてきたことによって、試合でどうなるのかを自分で知りたい」。全力を尽くした先に、新しい景色が見える。