ラグビーの「リーグワン」の埼玉パナソニックワイルドナイツが31日、新型コロナウイルスの影響で中止となった全国高校選抜大会決勝カードの実現に協力した。埼玉・熊谷にあるチームの練習場を提供し、東福岡（福岡）と報徳学園（兵庫）が代替試合（非公式戦）を行った。東福岡が37－10で快勝。試合後には両チームの選手たちがグラウンド中央に集まり、互いに健闘をたたえ合う光景が見られた。

東福岡の大川虎拓郎主将は「グリーンのユニホームを着ている以上負けていい試合なんてありません」。全力を出し尽くした表情は、充実感でいっぱいだった。一方の報徳学園の植浦慎仁主将は代替試合の提案を受けた当日の朝は「気持ちが切れてしまっていた」。その後リーダー陣4人で話し合って出場を決めた。敗れはしたが、「次は勝つ」と決意を新たにした。

当初31日に行うはずだった選抜大会の決勝カード。中止の知らせは前日夜。東福岡が対戦したチームに新型コロナウイルス感染症の陽性者がいたことが29日に確認され、大会実行委員会は感染拡大防止の観点から同校に辞退勧告。東福岡がこれを受け入れ、報徳学園が不戦勝による優勝となった。決勝後に予定されていた閉会式も中止となり、今大会は静かに幕を閉じることになるはずだった。

状況が一転したのは、この日の朝。「リーグワン」の埼玉パナソニックワイルドナイツが、公式ツイッターで同日午前11時から代替試合を行うと発表した。練習場を試合会場として提供し、チームのYouTubeチャンネルでは試合のライブ配信を実施した。日本代表SO松田力也（27）とフッカー堀江翔太（36）が解説を担当し、選手たちの好プレーをたたえるなど盛り上げた。【平山連】