東京オリンピック(五輪)後、ソロに専念した乾友紀子(31=JAPAN)が92・7089点をマークした。オープン参加のため順位には反映されないが、全体トップだった。

主要大会では19年の世界選手権(韓国・光州)以来となるソロ。「いつもテクニカルは緊張するけど、久々の有観客でワクワクしながらやれた。五輪後、積み重ねてきたものを信じて、それなりの結果を見せられた」と納得した。

16年リオデジャネイロ五輪のチーム、デュエットともに銅メダルを含む3大会連続出場のエース。昨夏の自国開催を終え「ソロで世界選手権に出たい。個人として評価されたい」と専念を決めた。

今年の世界選手権(6月18日~7月3日、ブダペスト)にも出場する。17年大会と同じ開催国で「当時のフリーも『鳳凰伝説』。同じ場所で悔しい思い(4位)をしたので、リベンジしたい思いがある」と代名詞のナンバーを持ってきた。

15年から取り組む楽曲をソロT仕様に短くし、エレキギターも追加。振り付けは「思い入れもあるし、好きなところは残した」仕上がりとなっている。

この日は「最後のエレメンツが下がってしまった」と反省も。今後は「なかなか93点の壁を越えられないけれど、最終的には95点に近づけていきたい」。世界選手権では初日に演技する日程で、メダルが期待されることに「もちろん。いい流れをつくっていければ」と3年ぶりのメダルを目指す。19年大会はソロ、フリーともに銅メダルだった。

東京五輪を最後に日本代表ヘッドコーチを退任し、ソロの指導に転じた井村雅代コーチは「『鳳凰伝説』は、彼女をソリストでもあると印象づけた作品。もう1度やることが成功への近道であり、成長の跡が見えるもの。それで選びました」と説明した。

内容については「染み込んだ作品なので何の心配もないけれど、最後のスピンはもっと力強くいかないといけない。世界選手権では大いに楽しんだらいい」と穏やかな表情で語った。

また、乾は午前中にオープン参加した1組8~10人で争うフリーコンビネーションで92・3000点をマークした。2日はソロフリーにエントリーしている。【木下淳】