日本フェンシング界初のプロとして活動する江村美咲(23=立飛ホールディングス)が、W杯初の金メダルを獲得した。

昨夏の東京オリンピック(五輪)団体戦で5位に入った日本のエース江村は、ラウンド16からギリシャとウクライナの選手を連破。準決勝は日本勢同士の対戦となり、小林かなえ(24=三重クラブ)に15-12で勝利。この時点で日本勢6年ぶりのダブル表彰台を確定させたが、さらに歴史を更新した。

迎えた決勝で世界ランキング9位(自身は14位)のギリシャ選手と対決。大熱戦の末に15-13で振り切って、自身はもちろん、日本女子にとっても史上初となるシニアW杯の金メダルをつかみ取った。

W杯では18年に銀、20年に銅メダルを獲得していたが、念願の金色の輝きを手にし「ずっと目標にしていた金メダルに手が届き、うれしいですが、まだ実感が湧きません」と率直な思いを笑顔で言葉にした。

試合前から「勝てない相手はいない、目標は優勝」と考えていたが「1試合目で反省点がかなり多かったので、オフェンシブに修正して戦ったのが良かったと思います。今までは自分のフェンシングにとらわれていましたが、新しいヘッドコーチ(ジェローム氏)から『フェンシングはその日によって決まる技も変わるし、相手によっても変わる』と言われていたことを思い出し、いつもとは違うスタイルの戦い方でも、柔軟に受け入れて修正できたことが優勝できたポイントだと思います」と勝因を自己分析した。

「明日(現地8日)の団体でも、まだ取っていない金メダルを目指して全力で戦います」と、日本を引っ張る存在らしく次の戦いへと目を向けた。【木下淳】