初出場の島根スサノオマジック(西地区2位)が、ホームでA東京(東地区3位)に80-62で快勝し、通算2勝1敗で4強入りを決めた。島根県初のプロスポーツチームはかつて、プロリーグ入りの「落選」を経験。そこから地道な活動で地域に根ざし、今季は大型補強にも成功して飛躍を果たした。21日からの準決勝ではアウェーで琉球(西地区1位)と対戦。頂点へ、快進撃を続ける。

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試合終了まで残り約1分を切った。島根の主力ビュフォードが両手をあげ、チームカラーの青一色に染まった会場をあおった。手拍子とリズミカルに響くメガホンの音も一層高鳴った。コロナ禍で声援が送れない会場には、一体感が広がった。試合後、主将の安藤は「みなさんにエナジーをもらった」と感謝した。

初戦は快勝したものの、第2戦で大敗。嫌なムードを断つべく、主将が序盤から気迫あふれるプレーでけん引した。一進一退の攻防を重ねながら同点で迎えた第3クオーター終盤。トラビスが3連続で3点シュートを決めて突き放し、流れを一気に引き寄せた。Bリーグ連覇経験を持つ強豪に快勝し、4強入りした。

島根県内初のプロスポーツチーム。07年には当時のbjリーグ入りを目指したが不合格だった。その後は県内の老若男女がフリースローでつながる「1万本シュートプロジェクト」を実施。商業施設やスポーツ施設を回り、機運を高めていった。このイベントをきっかけにスポンサーが集まり、10年よりbjリーグ参入を果たした。

Bリーグ加入後も苦戦は続いたが、地域に密着して地道に活動を続けてきた。19年にはバンダイナムコエンターテインメント社が親会社となって経営基盤が安定。今季は大型補強にも成功し、快進撃が続く。

21日からの準決勝では西地区1位の琉球に挑む。安藤は3300人の観衆に約束した。「今日の試合でも僕たちは成長できた。毎試合成長していくことが優勝のカギ。みんなでつかみに行きましょう」。日々進化を遂げ、頂点を目指す。【奥岡幹浩】