1回戦で、西岡良仁にストレート勝ちをした世界王者、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)は、試合後の会見で、「もっとやり方があったはずだ」と、ウィンブルドンの方針を批判した。ウクライナへの軍事侵攻を理由に、ウィンブルドンは4月に、ロシアとベラルーシの選手の出場を認めない決定を明かした。

ウィンブルドン側は、英国政府の方針に従うしかなかったとした。しかし、ジョコビッチは「大会に宛てた政府からの勧告文書には、いくつかの選択肢が提示されていたようだ」と、一択しかないとするウィンブルドン側の主張を、真っ向から否定した形だ。

一方で、国名や国旗を使用しない条件で、男女の世界ツアーを統括するATP(プロテニス協会)とWTA(女子テニス協会)、ITF(国際テニス連盟)は、個人出場を認めている。ウィンブルドンの決定に対し、同大会で世界ランクのポイントを付与しないことを決定した。

ジョコビッチによると、ATPとWTAは、いくつかのアイデアを持っていたという。「ベラルーシ、ウクライナ、ロシアの男女の選手が、大会期間中に一緒にエキシビションイベントを行うとか、混合ダブルスを行い、賞金をウクライナの被災者に寄付するとか、そういう提案があったようだ」。しかし、どれも実現していない。

ジョコビッチは、ワクチン未接種のため、1月の全豪への出場を拒否された。全豪もウィンブルドンも21年の覇者で、2大会で稼いだ世界ランキングのポイントは4000点。「今年は、それを失うことになる。すごく落ち込んでいる」。ウィンブルドン開幕まで、残り約1カ月しかない。

◆全仏オープンテニスは、5月22日から6月5日まで、WOWOWで全日生放送。WOWOWオンデマンドとテニスワールドでライブ配信される。