柔道女子団体で、北海が5大会連続(中止になった20年挟む)優勝を飾った。準々決勝の旭川明成戦で昨年女子63キロ級を制した椿原里梨主将(3年)が内股をかけた際、勢い余って頭から畳に突っ込み、規定で失格に。準決勝以降は主将不在で勝ち抜き、王座を死守した。男子も北海が制し、3大会連続の男女優勝を飾った。男女優勝チームは全国大会(柔道は8月6日開幕、愛媛)に出場する。

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リーダーを欠きながらタイトルを“防衛”した。決勝の札幌日大戦は、本来大将の渡辺天海(3年)が先鋒(せんぽう)で一本勝ち。中堅の横地萌恵(2年)が身長差8センチ、体重差23キロある相手と引き分け、チームスコア1-1、一本勝ちの差で競り勝った。渡辺は「何としても最初に1本取って流れをつくりたかった」。横地は「里梨さんに『絶対に勝てる。大丈夫』と背中をたたかれ思い切って戦えた」と喜んだ。

スクランブル体制の中、雪辱を果たした。札幌日大には5月の地区予選決勝で敗れており、横地は今回と同じ西岡夢優(3年)を相手に指導2つを取られ負けていた。道予選での再戦を想定し、体格差を補うため低く入り、かつぎ上げてから仕掛ける練習を繰り返してきた。勝利に等しい引き分けに持ち込み「里梨さんと一緒にインターハイに行きたかった。必死だった」。仲間の奮闘に椿原は「申し訳ないという思いでいっぱい。全国では必ずチームに貢献したい」と涙を流した。

目標は初の高校総体4強だ。斉藤順道監督(42)は「この状況で勝ち抜いたことは大きい。ここに椿原が入れば全国でもいい戦いができる」と分析。椿原は昨年12月に左肘の靱帯(じんたい)を断裂し、16強に進出した3月の全国選手権中は実家の和歌山でリハビリに励んでいた。和歌山箕島中3年時に全国中学57キロ級準優勝の実力者が戻れば、さらなる高みが見えてくる。椿原自身も「最後の夏こそ、結果を出したい」と意気込んだ。

3月末にはコロナ禍で2年間、自粛していた道外遠征を復活。全国選手権63キロ級女王の山里椿華(2年)らを擁する長崎明誠などと練習試合を行い、チーム全体の意識を上げてきた。渡辺は「強い高校の選手はファーストタッチの圧力がすごい。最初にガツンといくとで相手が簡単に技をかけにくくなることを学べた」。春の修行、夏の試練を乗り越えた成果を、大舞台で披露する。【永野高輔】

◆柔道の反則負け 国際柔道連盟試合審判規定で内股、払腰の技を掛けるか、または掛けようとしながら身体を前方へ低くまげ、頭から畳に突っ込むことは、反則負け(重大な違反)と定められており、その後、一連の試合に出られない場合がある。欧州の選手が畳に頭をつけ投げるケースが増加。首のケガにつながる可能性があり、4月から厳格化され額が畳に触れただけでも適用される場合がある。