世界ランキング21位の西本拳太(27=ジェイテクト)が金星を挙げた。同3位で第3シードのアナス・アントンセン(デンマーク)を21-15、21-19のストレートで撃破した。

会場に響く大きな拍手を力に変えた。猛反撃を受けながらもしのぎきった西本は、両手で力強くガッツポーズ。「日本で試合をしていることが1番の力になった。たくさんの声援の後押しがある中で、心地良さやありがたみを感じた」と感謝した。

故障明けで試合勘が鈍る相手の隙を見逃さなかった。第2ゲーム中盤からの5連続ポイントで20-15に。マッチポイントを握ったあとに苦しんだが、強敵から勝利をもぎとった。

18年に世界ランキング9位に入ったものの、その後は伸び悩んだ。20年春、変化を求め、恵まれた環境だったトナミ運輸を退社。自らを追い込んで競技に懸けた。東京五輪出場こそかなわなかったが、技術、メンタル面は強化され、この日の金星につながった。

「五輪代表のレースを経験できたことで今がある。悔しさや反省を生かし、1つ1つやっていきたい」。今大会の目標は「もちろん優勝」ときっぱり。24日の2回戦に向けて、「次も勝たないと。この価値を無駄にしないようにしたい」。真っ直ぐな目で、頂点を見据えている。【奥岡幹浩】

◆西本拳太(にしもと・けんた) 1994年(平6)8月30日生まれ、三重県出身。埼玉栄高から中大に進学し、13年から全日本学生選手権シングルス3連覇。17年にトナミ運輸に入社し、18年全日本総合選手権優勝。20年に退社後は岐阜県協会を経て、22年春からジェイテクトに所属する。