世界ランキング2位の桃田賢斗(27=NTT東日本)が、初戦を突破した。同82位のメキシコ選手を21-16、21-14のストレートで下した。

大会初日のセンターコート。午後8時頃の“ゴールデンタイム”に始まった一戦で、日本のエースが存在感を示した。親子連れや仕事帰りの観客が詰めかけ、応援の手拍子も響いた中で、大勢のファンを魅了した。

東京五輪とは異なる有観客開催。声援を受ける喜びを感じながらプレーした。第1ゲーム途中、相手の高い返球に対して鮮やかなショットで得点を奪った。「自分でも『よしっ』と思った瞬間に、小さな女の子が『うまーい』と言ってくれたのが聞こえた。もう1回見せたいと思ったら、そこから失点してしまった。調子に乗っちゃいました」。笑いながら振り返った。

初戦だからこそ、「失点は仕方がない」と割り切ってプレー。さまざまなショットを確かめられたことは、次戦以降へ向けて意義がある。「しっかり足を動かせた。次につながる試合ができた」。

東京五輪ではまさかの1次リーグ敗退。その後の大会でも不本意な成績が続く。本来の状態にはまだ少し遠いかもしれない。それでも表情には、持ち前の明るさが戻ってきた。【奥岡幹浩】