男子日本代表サムライジャパン(世界ランキング17位)が、劇的展開で世界屈指の強豪と引き分けた。オーストラリア(同1位)と1-1でドロー。先制点を許したが、最終第4クオーター(Q)残り5秒から、DF藤島来葵(22=ALDER飯能)が決め、同点とした。16年、4大会ぶり5度目の出場となる来年1月の男子W杯インド大会に向けても、価値ある一戦となった。

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東京五輪の会場でもあった大井ホッケー場が沸いた。敗色濃厚とみられた最終第4Qの残り5秒。セットプレー、ペナルティーコーナー(PC)のチャンスが舞い込んだ。正面でボールを受けた藤島が、相手GKを鮮やかにかいくぐって同点ゴール。東京五輪銀メダルの強敵に、互角の戦いを見せた。

今年3月に立命大を卒業したばかりの藤島は「得点を取れない時間が長かったので、決めてやろうという気持ちだった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。祖父弘志さん、父弘介さんも元日本代表。3世代で日の丸を背負い「小さい頃からホッケーの試合を見てきた。自分もW杯や五輪に向けて頑張りたい」と言った。

前日の第1戦は0-1で惜敗したが、高橋章ヘッドコーチは「日本のアタッキングホッケーが通用していることを証明できた」と手応えを語る。W杯に向け、今後はマレーシア、スペインでの遠征、試合を予定しており、選手選考を進める。「藤島のように若い選手が思い切ってチャンスをものにした。とにかく若い世代にチャンスを与えていきたい」。同コーチは、新世代の台頭を期待した。