バスケットボール男子のBリーグが、29日に開幕する。Bリーグの島田慎二チェアマン(51)が27日までに日刊スポーツの単独インタビューに応じ、新シーズンの見どころ、シーズンオフに起きた出来事について語った。ニッカンスポーツ・コムでは上下2回に分けて、お届けする。

(聞き手・奥岡幹浩)

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-新シーズンの開幕も近い。7年目のBリーグの見どころは

まずは2年間なかった降格制度が再び始まること。26年からの「新B1」へ向け、どのクラブも上のカテゴリーに行きたいわけで、熾烈(しれつ)な戦いが繰り広げられる。また来年のW杯に向けて、リーグとしても盛り上げていかないといけない。選手たちも日本代表に選ばれたいという思いがあるだろうから、例年以上にレベルアップするシーズンになるのでは。

-男子日本代表に関しては、トム・ホーバス監督が以前、リーグにさらなる協力を訴えていた

トムとはコミュニケーションを取っていて、リーグとしても全面的に協力していくスタンス。とはいえ彼からすれば、シーズンを早く終わらせて合宿期間を増やすとか、シーズン中にリーグを中断して合宿期間を設けるといったところを本当の理想としているかもしれない。さすがに我々も2年前からスケジュールを組んでやっているわけで、現実的に難しいことは多々ある。それでもできる限りのことは協力したいし、相談しながらやっている。

-インドネシアとの共催となる来夏のワールドカップ(W杯)について、興行面ではどう捉えているか

過去に苦い思い出(06年日本開催で赤字総額13億円超)があり、同じ轍(てつ)は踏めない。多くのお客さまが会場へ足を運んでいただけるよう、プロモーションも含めリーグとして全面的に協力していく。

-W杯はパリ五輪の出場権もかかる

先月までの日本代表戦を見ても、トムに見いだされて伸びている若手選手は多い。これまで代表を引っ張ってきた選手でさえ、うかうかしていると残れることができないのではというほど。激しい競争なくして日本代表が強くなることはない。ホーバス体制となり、Bリーグで結果を出せば代表に呼ばれるという思いを多くの選手が持っている。そういう意味でも、新たに代表入りするような選手がさらに出てくるとより面白くなる。

-このオフに、横浜ビー・コルセアーズの筆頭株主が変わり、横浜トヨペットが中核のグループ傘下に入った。同じリーグのアルバルク東京は親会社がトヨタ自動車にあたる。八百長防止の観点から「クロスオーナーシップ」は禁じられている。今回の株主変更はこれには抵触しないとクラブ側は説明したが、リーグとしてもその見解か

実際に抵触はしていない。クロスオーナーシップは50パーセント以上の実効支配をしている会社がまずあり、もうひとつのクラブを5パーセント以上保有する場合に該当する。

-クラブ側は、横浜トヨペットとトヨタ自動車との資本関係はゼロだと強調した

大前提として、横浜トヨペットの株式をトヨタ自動車はまったく取得していない。そして社長や取締役が送り込まれているといった間接的支配もない。

-とはいえ、両社はビジネス面で強い関係があるとみられる

取引関係については、見にいかないというのが我々の整理。Bリーグのクラブのオーナーシップもどんどん変わっている中で、それを言い出せばあちこちで何らかの取引関係は出てくる。じゃあ、どのレベルの間接取引ならノーで、どのレベルだったらイエスか。抽象的な判断でものごとを進めることはできない。

-かつてプロ野球では、ニッポン放送が横浜ベイスターズの筆頭株主になると発表された後、別球団のオーナーの猛反発でひっくり返った事例もある。今回のビー・コルセアーズの件は、他クラブのオーナーからも承認を得たのか

Bリーグの場合は、クラブのオーナーは決議に入らない。競技ルールや規約変更などクラブの利害に関わる案件はクラブの代表や社長が出席する実行委員会が審議し、理事会で決議される。とはいえ各クラブの資本関係に関わる話は、実行委員会での審議はなく理事会で決議する案件となる。今回の件については理事会も通り、ちゃんとした手続きを踏んだうえで発表されている。(つづく)

【インタビュー】7年目迎えるBリーグ29日開幕 島田チェアマンに聞いた 下