バスケットボール男子のBリーグが、29日に開幕する。Bリーグの島田慎二チェアマン(51)が27日までに日刊スポーツの単独インタビューに応じ、新シーズンの見どころ、シーズンオフに起きた出来事について語った。ニッカンスポーツ・コムでは上下2回に分けて、お届けする。

(聞き手・奥岡幹浩)

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-7月にリーグ所属選手よる一連の不倫騒動があった。「FLASH」や「週刊文春」の報道によって発覚すると、チェアマン自らが全選手らに直接指導したと聞いている。どんな内容を伝えたのか

いま自分たちが置かれている状況を再認識してもらう目的で話をした。「不倫はやめなさい」とか「女性関係に気をつけなさい」ということではなく、理性を持って自分の行動をコントロールできる気づきを与えられればと。法的に問題がなくとも、世間にノーと突きつけられればそれは基本的にノーとなる。応援してくれている人たちの期待を裏切れば、結果的にファン離れ、スポンサー離れにつながる。ひいては業界の衰退を招き、自分たちのサラリーや選手生命にも影響してしまう。

-時間にしてどれぐらいだったのか

当初は10分程度の予定だったが、熱が入りすぎて5分ほどオーバーした。

-その後、別の講師が話をしたという形か

話をしたのは私だけ。今回は、いわゆる研修会とは異なる。

-4年前にジャカルタのアジア杯での不祥事(買春騒動)などがあった際には研修会が開かれ、その様子は公開された

前提として、今回はオンラインだったという点が当時とは異なる。コロナ禍で一堂に会することは無理。スピード感を重視して、オンラインを選択した。意図的に非公開にしたわけではない。

-今回の講話を終えたあと、選手たちの反応は

モニター画面に向かって話をしている私としては、どんなリアクションがあったかは分からない。とはいえ、いま由々しき状況にあり、これまで積み上げてきたものなんてすぐ崩れかねないという感覚は伝わったと思う。

-4年前の不祥事では、4選手に1年間出場停止の重い処分。今回は1人の選手に謹慎処分などが下されたものの、シーズン開幕約1カ月前には解除。もう1人の選手については一切処分なし。あまりに軽いのでは

4年前は日本代表の活動期間中に起きたことでもあり、(日本協会として)事態を重く見た。本人の意思も含めての判断。今回、それぞれのクラブが下した判断が軽いか否かの議論はあるが、基本的に我々が関知するところではない。契約を締結しているのはクラブと選手だから。リーグとして傍観しているわけではないが、そこに踏み込む立場にはない。

-とはいえBリーグ規約第6条には、団体や個人の制裁に関する最終決定はチェアマンが権限を持つと明記されている

裁定にかける案件か否かは、Bリーグ規約に抵触しているかどうかが物差し。今回はそもそも規約に抵触していないから、私の独断で「処分が甘い」となどと口を出す状況にはない。

-しかしBリーグ規約第3条で、公序良俗や社会的規範に反する行為は禁じられている。不倫はこの項目には抵触しないのか

刑法などに抵触していない限りは、社会的規範や公序良俗に抵触しておらず、リーグとして裁定を下すにはあたらない。我々としてはそういう整理をしている。

-処分なしとしたクラブは社長名義の声明で「選手のプライベートについて関与はせず」とした。だが、リーグの統一契約書には「選手は公私ともに日本バスケットボール界の模範たるべき」といった一文もある

そこはクラブが判断すべきところ。統一契約書は選手とクラブが交わしたものなので。

-クラブの判断に対して、リーグから指導は入らないのか

規約規定上からクラブを裁いたりはしない。感覚論で「もう少し厳しくしたほうがいいんじゃないか」ぐらいはあるかもしれないが、中途半端な向き合いはしない。(おわり)

【インタビュー】7年目迎えるBリーグ29日開幕 島田チェアマンに聞いた 上