B1に仙台89ERSが帰ってきた。6季ぶりに復帰したB1で勝ち抜くためには新戦力の活躍が必須となる。日刊スポーツ東北版は今季加入したラショーン・トーマス(28)にインタビュー。トーマスは、NBAの下部リーグ「NBA Gリーグ」でキャリアをスタート。その後、イタリア、セルビア、韓国リーグで活躍した。海外経験豊富なパワーフォワードが、培ったそのスキルで仙台に勝利をもたらす。【取材・構成=濱本神威】

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みなぎる闘志でチームをけん引する。トーマスは「エナジーをチームにもたらすことと僕の強みであるディフェンスが求められている」と自分の役割を分析した。 

10日、B1琉球とのプレシーズンゲームでは「自分はディフェンシブな選手」と語るように献身的な守備で相手のターンオーバー(ミスによる攻守の入れ替え)を誘発。強度の高いディフェンスを信条とする「仙台89ERSのバスケット」に早くもなじんでみせた。オフェンスでは25得点をマーク。どこからでも得点できる器用さも披露した。

エナジーあふれるプレーの秘訣(ひけつ)は試合前のルーティンにあった。ヒーリング音楽を聴きながらストレッチをし、心身ともにリラックスする。「僕はエナジーをすごく持っていると思う。試合前にそれが出過ぎないように抑えています」。抑えたエナジーを試合開始のブザーとともに放出する。琉球戦のように攻守でチームに勢いをもたらすトーマスは、勝利への起爆剤として不可欠だ。

16日、秋田で行われた「東北カップ」1回戦で、仙台はB3岩手に66-73で敗れた。この結果にトーマスは「すごく残念な試合だった。気持ちの部分で、相手の方が『B1に勝つぞ』というところがあったのに対し、自分たちには『B3の相手とやる』というメンタリティーがあったんじゃないかと思います」と悔やみ、「すごくいい教訓になった」と振り返った。「自分たちのやるべきことにフォーカスしきれなかった。それができなければ、これだけダメになってしまうということを学べたのはすごくよかった」。翌17日、非公開で行われたB2青森戦は各クオーター(Q)を14失点以下に抑える堅守で新チーム初勝利。手痛い敗戦は「仙台89ERSのバスケット」を見つめ直す、いいきっかけとなった。

チーム一丸で戦っていく。21日に仙台市内の大崎八幡宮で行った必勝祈願で、トーマスは絵馬に「Fight as One」と記した。「チームとして、ひとつになって戦いたい。みんながしっかり一緒にひとつになって戦うことができれば、本当に良いチームになれる」。新たな起爆剤を得た仙台が、プレシーズンでの敗戦を糧に、結束力を強めていく。

◆ラショーン・トーマス 1994年8月15日生まれ、米国出身。テキサスA&M大学コーパスクリスティ校を卒業後、17年から「NBA Gリーグ」のオクラホマシティ・ブルーでプレー。18-19年、イタリア・セリエAでプレーし、昨季は韓国・蔚山ヒュンダイモービス・ホエーブスでプレーした。203センチ、104キロ。