落胆から1日後、歓喜の時が訪れた。アランマーレ秋田が山梨に88-80で競り勝ち、ホームで今季初勝利を収めた。前日22日同様、第4クオーターまでに決着がつかず、2戦連続で延長戦に突入。佐藤ひかる(27)が、両軍最多の25得点をマークしたのをはじめ、開幕戦敗戦の雪辱に燃えた選手が攻守で奮闘し、会場を最高潮にした。

万雷の拍手が体育館に鳴り響いた。8点差で惜敗した前日から、この日は8点リードで接戦を制し、チーム全員で喜びを分かち合った。ベンチ前に整列した佐藤ひは、目に涙を浮かべ、ユニホームでぬぐった。「あまり泣くキャラじゃないですけど、単純にうれしくて…。みんなで喜んだ時に(勝利を)実感して泣きました(笑い)」。昨季はコンディション調整により、無念の出場なし。加入後初めての1勝を経験し、思いが込み上げてきた。

両者の意地がぶつかる延長の5分間。小嶋裕二三ヘッドコーチ(HC、55)は勝負に出た。「外からドライブで切れ込む選手が必要になる。両側から攻撃できる意図を持って」と、ポイントガードの平松飛鳥(28)と奥村鈴(22)を同時起用。平松が欲しかった先取点を奪った直後に、佐藤ひが3Pで突き放し、延長戦を13-5で制した。小嶋HCは「リードされたらすぐにタイムアウトを取ると思っていたが、選手が続けざまにいいプレーをしてくれた」と目を細めた。

2戦連続で勝負強さを発揮した。佐藤ひは前日22日、2季ぶりとなったリーグ戦で3P5本を含む23得点。指揮官は「得点の爆発力は持っているので今後も継続してほしい。体調をしっかりコントロールしながらいいパフォーマンスを出してほしい」と活躍を期待。この日も3P5本を含む25得点とWリーグ参入後ではチーム初の2戦連続20得点を挙げ、輝きを放った。

シーズンはまだ始まったばかり。今後はトヨタ自動車、ENEOSといった強豪との対戦を控えるが「自分たちがやることは変わらない」と佐藤ひ。参入1年目の開幕戦だった21年10月23日から、ちょうど1年。復活したシューターが、何度も放物線を描く。【相沢孔志】