フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナル(イタリア・トリノ)で初優勝を飾った宇野昌磨(24=トヨタ自動車)が13日に凱旋(がいせん)帰国した。

来週に控える全日本選手権(大阪)への意気込み、ステファン・ランビエル・コーチとの絆などについて。羽田空港での一問一答。

-2日たちましたが優勝の心境は?

本当に優勝できたのはうれしいことですし、今日まで練習してきたものが試合でも発揮できたのはうれしく思います。

-今季一番良い状態で迎えていると言っていたが、その要因、理由は

やはり今季、靴に悩まされる時期が多くて、ジャパンオープンから始まり、本来であれば新しい靴で挑む予定だったんですけど、前の靴で。それでも自分の思う通りにいかない日々が続く中で、調整していたんですけど、本当に自分の身近な人たくさんに声を、いろんな人の声を聞いて。練習に対して気持ちがマイナスになる中でたくさんの人が支えてくれて。本当にすべてが良い方向につながった要因かなと思います。

-言葉など?

言葉といいますか、僕を日々、一番近くで支えてくれている方が一番大きいのかなって思います。

-今大会の収穫と課題は

本当に一番の収穫は試合での出来だったり、そういったものよりも、今大会まで、今大会に向けてやってこられた練習が収穫だった。その結果、良い結果につながったのはうれしいことなんですけど、これが僕はスタートになればいいなと思ってます。

-全日本への意気込みと目標を

全日本、本当に1年で一番緊張する大会になると思います。短い期間にはなりますが、GPファイナルで培った経験、学んだことを、今日までやってこられたことを引き続きやっていき、自分がさらに成長できる試合にできたらなと思います。

-4種類5本構成は4本決まりましたが手応えは?

現地にいってからの練習ではすごくまとまっていたので、こういう難しい構成でも練習からしっかりできていたので、ようやく試合でできることが偶然ではなく、必然に変わりつつあったので。それがまた試合という場でできたのは大きな自信につながる。今日までの練習は本当に良かったなって思います。

-優勝が決まった時に宇野選手以上にステファン・コーチが喜んでいましたが、何か声をかけられたりは

すごく喜んでて。ステファンはスイスに戻ったんですけど、僕が今後やりたいようにやっていってほしいと。それに僕たちはついていくから、と。僕が年齢的にも、僕のスケートに対する考え方的にも、1つの大会に向けて全力で突っ走るというのではなく、ただ自分がやりたいこと、日々何をしたいかに向かって練習をしているというのはステファンも知ってますし、きっと同じ考えなので。「自分のやりたいようにやってほしい」という言葉を頂きました。

-ステファン・コーチの演技は見ましたか

ないですけど(笑顔で)、まあ、でも、自分の演技は振り返ったりしますけど、同じアイスショーに出ている時はステファンの演技は見ることが多かったです。僕は結構、好きだったのは割とアップテンポ目な曲、でも何をやってもうまいんです。芸術家というのはこういうことだなって。フィギュアスケートは競技でやる以上、技術的、ジャンプに寄りがちな傾向があり、それが僕は悪いとは思わないですけど。フィギュアスケートっていうものは技術と芸術を融合させたものだと思っているので、競技から離れたスケーターがああいう芸術家として人前で華やかな演技をしていることにあこがれますし。普段のステファンを知っているからこそ、感慨深いというか。普段からはまったくそんな感じはしないので。見ていて楽しい人だなって思います。

-「他の選手の練習をみて、自分のスケートを良くしていく仕方に気づいてきた」という言葉があったが

僕はずっとプログラムの練習をフルで全部やっていたんですけど。まず1つ思ったのは、同じことを反復練習した方が、なんでできないか、なんでできるようになるかっていう具体的なものが見えやすいなと。あとはケガをしないように、それとどう向き合うかで。同じことを反復練習していると、1日にできるジャンプの量は限られてくるなって。いつもは毎日全部やろうと思っていたんですけど。そうではなく、1週間かけて全部終わらせる、1日で終わらせるのではなく。広い目で見て、目の前の大会に向けてだけ練習するのではなく、もっと先、もっと自分が成長するためにはどういう練習をしていくのか最善かなって考え始めてから、ケガも少なくなりましたし、すごく良くなりました。

-ジュニアからタイトルとり、あとは大きなタイトルは五輪。積みあげてきた思いと、あと1つへの思いを

2年前の僕が世界のトップになれると思ってませんでした。世界のトップで争える選手に戻りたいという気持ちでしたし、こうやってすごい2年、良い成績がでるとまったく思ってなかったので。ただ、僕は次の五輪を目標にスケートをしていないので、それまでに僕の選手生活が終わるかもしれませんし、もしかしたら続けるかもしれませんし、それはまだ分からないですけど、今年向き合っているようなスケートとの向き合い方で五輪というものがまた目の前にきたら全力で頑張りたいと思いますし、もちろんスケートを終わってからの人生も長いと思っているので、スケートに限らず、いろんなことに目を向けながら頑張っていきたいなと思います。