今季の前半戦で大躍進を遂げた渡辺倫果(20=MFアカデミー)が、まさかの56・23点とスコアを伸ばせず、18位発進となった。

冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)が回転不足となり、勢いに乗れず。続く3回転ルッツも着氷が乱れた。後半の3回転ループを2連続ジャンプにしてリカバリーはしたが、演技を終えると苦い顔で頭を抱えた。

9月のチャレンジャーシリーズ・ロンバルディア杯で優勝を果たすと、代替出場となったグランプリ(GP)シリーズ第2戦スケートカナダで初出場初優勝。第5戦NHK杯の5位の結果と合わせ、今月上旬のGPファイナル初出場を遂げて4位に入っていた。

しかし、それが重圧になった。昨季は東日本選手権で優勝も、ノーマークで挑戦して6位。今季は「立場が違う」と覚悟して臨んでいて「まさに、それが気負いになりました。悪い意味でファイナル進出などの結果を背負いすぎた」と悔やんだ。

武器の3回転半は、直前の6分間練習の出来が良かっただけに、落とし穴となった。「変な緊張があったし、やっぱ6練でいいからって試合でいいわけではないので。弱さが出ました」と、取材エリアでは涙もこぼしながら振り返った。

しかし、切り替えるしかない。24日のフリーへ「もうやるだけです」。NHK杯も「落ちるところまで落ちた」とSPで58・36点だったが、フリーで意地の3回転半を降りてファイナル切符につなげた。

そのNHK杯も下回るスコアとなったが、得点が出たキス・アンド・クライで「まだまだや」と、つぶやいた。

「海外大会も経験させてもらった中で、まだ弱さが出た。でも、もっと伸びしろがあると思っています。いや、伸びしろしかないので、私。今季前半戦の成績を考えれば、悔しさもありつつ、まだまだ上に行けるという意味で『まだまだや』と言いました」

あとは1つでも上の順位を目指すだけ。フリーも3回転半を1本にする予定だが、それを降り切ってこそ逆襲の、未来への始まりとなる。【木下淳】

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