関西王者の京産大が、2季連続で4強入りした。

微妙な判定で14人となった終盤に1点差に迫られながらも34-33で慶応大(関東対抗戦4位)に5度目の対戦で初勝利。スクラムの軸となるプロップ渡辺龍(4年=甲南)が負傷欠場する緊急事態。代役で先発した川口新太(2年=東海大大阪仰星)が穴を埋めた。

初の決勝進出へ1月2日の準決勝(国立)で早大と対戦する。同志社大は0-50で帝京大に敗れた。

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強力FWを伝統としてきた京産大のプライドだった。最大12点差をつけられ、5点を追う前半終了間際。FW第1列の3人が共同主将のCTB家村に直訴した。「スクラムで行かせてください」。屋台骨となる渡辺は左足首の剥離骨折で欠場。3番に入ったのは先発が2度目の川口だった。体は大きいが気は優しい。それもあってBチームでも活躍できずにいた。前半の見せ場で奮起。スクラムを起点にSH土永のトライで同点、ゴールで勝ち越した。

「モールの選択肢もあったんですけど『勝負させて下さい』とお願いしました。ずっと龍さん(渡辺)が先頭に立ってやってくれた。大舞台、国立で活躍してもらうたうために負けるわけにはいかなかったです」

そう語った川口は、花園経験はなくとも努力を重ね、最終学年でやっと先発をつかんだ先輩の背中を見てきた。関西リーグ最終節近大戦前に負傷した渡辺のエックス線画像には白い線があったという。前夜、川口は長文のLINEを受け取った。「先輩のために」-。覚悟が芽生え、後半5分には自らトライを奪った。

激闘を制し正月の国立にたどり着いた。福西主将は「あくまでも日本一。絶対に勝って決勝にいきたいです」。初の決勝、その先に悲願がある。【益子浩一】

▽京産大広瀬監督 慶応の守備が素晴らしくなかなか前に出ることができなかった。苦しい試合をよく勝ちきってくれたと思います。

○…慶応大は関西王者を土俵際まで追い詰めた。前半に一時は12点をリード。勝ち越しを許してからも粘り、終了間際には留学生のロック、マプスアのトライなどで1点差に迫った。4強入りまであと1歩。元日本代表WTBの栗原監督は「最後まで食い下がり、心を折れずに戦うことができた」と大健闘の選手を褒めた。