ボディビル・フィットネスの祭典「マッスルコンテストジャパン」が19日、神奈川・川崎市内の「カルッツかわさき」で開催された。「ウーマンズフィジーク」部門に出場した山野内里子選手(62)が優勝に輝いた。

「還暦の女王」の笑顔がステージ上ではじけた。今大会はコロナ禍の影響で3年ぶりの開催。前回(2020年大会)は惜しくも2位と辛酸をなめた。「3年間待ってようやくたどり着いたステージ。最高の準備をしてこの日を迎えることができた」。前日の「マッスルコンテスト東京」で4連覇を達成した勢いそのままに、美しく鍛え上げられた肉体を披露した。

還暦を過ぎてもなお衰えない美しい姿から「マッスルクレオパトラ」の異名を持つ。「痩せるのではなく育てる身体作り」で理想の形へ作り上げていった。

本格的に競技を始めたのは40代後半ごろ。一般的には“遅咲き”と言われながらも「年齢は単なる数字にすぎない。普通の主婦でも極められることを証明したい」と自身を磨き続けた。そして今回、悲願の優勝を果たし、まさに有言実行となった。

この大会のオーバーオール(各部門の総合)優勝者には「IFBBプロカード」が授与され、今後はプロとして大会に出場できる。しかし山野内選手が出場した「ウーマンズフィジーク」部門のエントリー数が基準を満たしておらず、念願だったプロカード取得とはならなかった。

現実は厳しくも前を向く。「今後はボディビルの魅力や厳しさ、健康の大切さを多くの人に伝えていきたい」。ボディビルを通じて人生を豊かに…。それをライフワークに新たな挑戦を続ける。【山崎健太】

◆山野内里子 1960年(昭35)10月19日生まれ、宮崎県出身。夫の名古屋転勤を機にゴールドジム入会。45歳からトレーニングを始め、40代後半ごろから本格的に競技に参戦。JBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)日本選手権で5度の優勝。アジア選手権2冠。マッスルコンテスト東京では20年から4連覇を達成。マッスルコンテストジャパン23年大会では初優勝に輝いた。