ジャパンエレベーターサービス(JES)ホールディングスが柔道部を4月1日に設立し、ゼネラルマネジャー(GM)に全日本男子前監督で00年シドニー五輪(オリンピック)男子100キロ級金メダリストの井上康生氏(44)、監督に兄の智和氏(47)を迎えると27日、発表した。

都内で会見した康生GMは「チームの強化、育成、システム構築を担当する」とセカンドキャリアまで見据えたサポートを約束。その弟から「明るく誠実なところが魅力」と紹介された智和監督は「スーパーヒーローを育成したい」と抱負を口にした。

初代所属選手は男子90キロ級の24年パリ五輪(オリンピック)代表候補、村尾三四郎(22=東海大4年)ら計5人。村尾は5月の世界選手権(ドーハ)にも出場する有望株で、康生GMは「(全日本男子の)鈴木監督の下、非常に期待されている選手。来ていただけることがうれしいと同時に責任がある」とし、智和監督は「入ってくると聞いた時、非常にプレッシャーを感じて体重が5キロほど減りました」。すかさず弟から「盛ったなと感じているところです」と突っ込まれるなど、この時代に実業団チームが新規参入することも含め、明るい雰囲気の会見となった。

康生GMは全日本男子の監督として21年の東京五輪で史上最多5個の金メダルを獲得。智和監督は「尊敬する、目指す理想とする身近な存在。兄なんですけど学ぶことがたくさんある。(監督業は初で)私の成長が最も必要。成長できる厳しいアドバイスをいただきたいし、兄弟という間柄ですが、柔道家、指導者として弟はかなり先を行っておりますので、背中を見ながら頑張っていきたい」と謙虚な人柄もにじませた。柔道指導室の教師を務めていた警視庁を既に退職し、全力を注ぐ。

JESは国内独立系最大手のメンテナンス会社。道場など活動拠点は将来的に整備し、最大15人程度まで男子を増やす構想がある。新卒の5人は競技に専念する社員選手として採用。入社後も各自現在の所属(村尾の場合は東海大)で稽古する。

理念として「真摯に取り組む」「柔道の可能性を示す」「社会の発展に貢献する」を掲げ、運営方針の<1>人間力<2>社会性<2>競技力を高めて日本一、五輪の金メダルなど世界一を目指す。【木下淳】