泥沼の開幕12連敗となった花園近鉄ライナーズ(花園)の水間良武ヘッドコーチ(HC、45)は、険しい表情で試合を総括した。

「規律の部分が悪くシンビン(10分間の一時退場)2枚。スイッチを切る場面が多くて、クイックスローに準備できていない。まだまだマインドセットの部分が足りない。自分たちが変わらないとできない。次に進んでいくために、この2日間考えて、進み出せるように、選手たちにはなってもらうしかない」

相手陣で攻撃する場面も目立った序盤だったが、前半7分にフッカー福井翔(22)、同36分にWTBヴィンセント・セフォ(19)が危険なプレーでシンビン。経験の浅い若手を積極的に起用するが、自滅する形で数的不利の展開が続いた。

1部に昇格した今季は故障者が続出し、この日も日本代表CTBシオサイア・フィフィタ(24)が故障で欠場。水間HCは言った。

「毎試合コンタクトの強度が強い。チームとしてトップ4以上という目標を掲げて『達成するためには自分たちでベストを超えていかないといけない』と話をしたけれど、選手はできなかった。私の読みが甘かった。残念ですけれど、これは私の判断ミス。選手につらい思いをさせている。過去は過去。今できることをやっていって、とにかくチームが良くなるようにしたい」

この一戦を客席から見守った世界的スターがいた。

オーストラリア代表SOのクエイド・クーパー(34)。22年8月に左アキレス腱(けん)を断裂し、治療とリハビリを行っていた母国から14日に来日した。世界を知る男は、64失点した戦いを冷静に見ていた。

「ライナーズは(下部で)楽な試合をやってきた。チームは苦戦しているが、この後1試合でも勝って、入れ替え戦で残留すれば、去年よりいい結果(立ち位置)になる」

自身はこの日もランニングで汗を流し、ウエートトレーニングも上半身、下半身ともに行っているという。クールな表情で「75%までスピードは戻っている」と明かしたが、復帰の目安に関しては言葉を濁した。

「この後の3~4週間で様子を見る。目標を設定してしまったら、ターゲットに間に合わなかった時に、メンタル的にも良くない」

下位3チームが進む入れ替え戦行きは、最短で今節にも決まる。リーグ残り4試合は横浜キヤノンイーグルス、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ、コベルコ神戸スティーラーズ、NECグリーンロケッツ東葛。浮上の兆しを信じ、チームとともに、クーパーも準備を進めていく。【松本航】