ラグビー元日本代表で12年に日本人初の国際ラグビー殿堂入りを果たした坂田好弘氏(80)が19日、京都市内のホテルで行われたニュージーランド(NZ)メリット勲章の受章記念祝賀会に出席した。

NZメリット勲章は96年にNZ女王エリザベス2世により創設された勲章で、幅広い領域から称賛に値する卓越した努力、能力と貢献を示した人物へ授与される。坂田氏はラグビーを通じてNZ、日本両国の発展や貢献に大きく寄与したことが評価され、20年12月に授与が決定。コロナ禍で授与式が延期となり、22年12月にNZ政府によって勲章伝達式が行われていた。

この日、壇上に立った坂田氏は「NZは私にとって第2の故郷。私1人に与えられたものではなく、日本ラグビーに与えられたものだと思います。今後も日本とNZ両国の関係発展に尽力します」と思いを口にした。

坂田氏は日本代表として参加した1968年(昭43)のNZ遠征で、ジュニア・オールブラックス相手に4トライを挙げて歴史的勝利に貢献。翌69年には単身でカンタベリー大学に留学し、NZでは「SAKATA」と名付けられた競走馬が走るほどの活躍だった。この日、祝辞を述べた森喜朗元首相(85)は「僕らがラグビーをしていた頃、坂田さんは神様のような人。『坂田を見に行こう!』となっていた」と懐かしんだ。

現役引退後は36年間にわたって大阪体育大の監督を務め、日本協会副会長、関西協会会長などを歴任。関西協会会長としては、関西学生代表のNZ遠征などを実現させ、NZ学生代表との試合などを通して両国の大学生が交流した。

京都の世界遺産・下鴨神社(賀茂御祖神社、京都市左京区)内にある「糺の森(ただすのもり)」では1910年(明43)に関西で初めてラグビーボールが蹴られ「第一蹴の地」として知られている。近年はその歴史と伝統を顕彰する「ラグビー第一蹴の地顕彰会」の会長を務めてきた。この日の祝賀会は下鴨神社の新木直人宮司(85)らが発起人となり、京都府の西脇隆俊知事(67)や京都市の門川大作市長(72)らも出席した。【松本航】