個人71キロ級の本田一(新潟・北越3年)は2年連続の16強で終わった。3回戦の相手は今大会の覇者で、昨年の選抜、インターハイ、国体で3冠を獲得している山口叶太(東京・自由ケ丘学園3年)。開始29秒で0-10のポイント差をつけられてTフォール負けした。125キロ級の宮崎祐貴彦(新潟・八海3年)も伊藤知大(大分・日本文理大付3年)にTフォールで敗れた。

反撃の糸口さえ見つけられなかった。本田は組んだ途端に落とされ、左足をもたれながらバックに回られた。両足首の自由を奪われ、アンクルホールドを4連続で決められる。開始からわずか29秒で0-10のTフォール負け。「2回目以降のアンクルホールドはガッチリ決まって、逃げられる気がしなかった」。先に攻撃するプランも崩れ、先手を取られて手も足もでなかった。

相手が強いのは知っていた。3冠王者との対戦にひるまなかったばかりか、逆に楽しみにしていた。2回戦をTフォール勝ちで終えた前日28日だ。「メチャクチャうれしい。ものすごく強い人にボコボコにされる方が経験値が上がる」と話して3回戦での体験を歓迎していた。完敗はしたが、成長に役立つ29秒間の戦いだった。

本田は、対戦した山口を「グラウンド(寝技)が力強く、技術がある。実際に戦ってみて、無駄な動きがなかった」と評し、今後の強化のヒントをみつけた。試合前にひそかに立てていた目標は「インターバルまでの3分間戦えれば上出来。正直、1分半か2分もてばいいと思っている」というものだった。その思惑は“秒殺”で届かなかったが、成長の度合いはインターハイで試される。【涌井幹雄】

○…125キロ級の宮崎も3回戦で姿を消した。伊藤に35秒、Tフォール負け。タックルからバックを取られ、アンクルホールドを連続で決められた。「タックルへの反応が遅れた。注意深さが足りなかった」。本来はグレコローマンスタイルの選手で4月の全日本ジュニア選手権(神奈川)ではU17のグレコ110キロ級(昨年3位)に挑む。「自分に足りないものを知った」というタックルへの対応を磨くのは、全日本ジュニアのあとになる。