宇都宮ブレックスがホームで茨城ロボッツに連敗し、ポストシーズン進出を逃した悔しさを晴らすことができなかった。

8日に可能性が完全に消えた。Bリーグ発足後、初めてポストシーズン進出を逃し、「ショッキングな状況」(佐々宜央ヘッドコーチ)のなかで、チームとしてどう戦うのが問われたゲームだった。

前半はショックを引きずっているようにみえた。個人技で何とか打開しようという意識が強すぎ、ボールが動かなかった。第2クオーター(Q)終了で27-38。ただ、きっかけになりそうなプレーもあった。第2Q途中に出場した田臥勇太が、スティールから素早くヤン・ジェミンにロングパス。ヤンはドライブインからのレイアップをきれいに決めた。

「オフェンスの流れがずっと良くなかった」(佐々HC)なかで、目の覚めるようなプレー。「少しでも流れを変えたかった」という田臥の言葉通り、後半は連動するブレックスのバスケが戻ってきた。20、19と得点を重ね、後半だけなら5点リード。3点シュートがもう1本入っていれば、という展開まで持ち込んだ。

観衆5351人は栃木県内のホームゲームではクラブ史上最多。ポストシーズン進出の望みが断たれても声援を送るファンの前で、昨季王者のプライドを何とか保てた。8日の試合後、居残り練習を行ったベテランの竹内公輔は今季2度目の2ケタ11得点をマーク。コンディション不良でベンチ外だったジョシュ・スコットの分を必死にカバーした。

「選手みんな、ファンの方々に申し訳ないという気持ちがすごくある。いいバスケをして、ゲームに勝って楽しんでいる僕らの姿を、ファンの方々は見たいと思う。残り10試合を無駄にはしない」。竹内によれば試合後のロッカールームで佐々HCは、千葉Jとの最終節(5月6、7日・日環アリーナ栃木)を上げ、「リーグで一番のチームに勝とう」と目標に掲げたという。

田臥が言う。「ブレックスの強さというのはファンの方々と一体となって戦い続けること。残りが消化試合だと思っている選手はひとりもいないと思う。チームとしても個人として、もう1度ギアを上げて全力で走り抜きたい」。プロとしての真価を発揮できるシチュエーションは、ここからかもしれない。