競泳男子の瀬戸大也(28=CHARIS&Co.)が代表の兄貴分になる。10日、日本水連は22年ぶり自国開催となる世界選手権(7月、福岡)に派遣する競泳40人、飛び込み9人の日本代表を発表。瀬戸は野球のWBCを観戦し、同い年で親交のある大谷翔平投手の振る舞いを観察した。

個人メドレーで4年ぶりの金メダルを狙うとともに、最年少16歳の成田実生(金町SC)ら後輩を背中で引っ張る決意を示した。

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初出場で世界一をつかんだ13年バルセロナ大会から、10年がたった。瀬戸が29歳で迎える6大会連続の世界選手権。都内で開かれた記者会見で壇上に立つと「金メダルを目指してやる」と誓った。昨年の世界選手権200メートル、400メートル個人メドレー2冠の20歳マルシャン(フランス)らに本気の勝負を挑む舞台となる。

10年で立場は変わった。先月、WBCで侍ジャパンが14年ぶりの優勝。視線は画面に映る友に向いた。「翔平がどうチームを引っ張るのかを見ていた。自分も年齢的に上の方。考えながらやりたい」。前日9日に閉幕した日本選手権では個人メドレー2冠。ここから周囲はライバルであり、時に「トビウオジャパン」として助け合う仲間になる。

スタイルは決めている。こだわるのは競泳に人生を懸ける姿。他の個人種目も代表入りの可能性があったが、24年パリ五輪を見据えて個人メドレーに絞っての出場を選んだ。「マルシャンとの一騎打ちを考え、中途半端にやっていない。競技に対する姿勢を見せたい」。干支(えと)が一回り違う最年少の成田に対しても「個人メドレーの選手。教えられる泳ぎ、考え方があったら教えてあげたい」と兄貴分な一面を見せた。 初出場の成田は昨年の代表合宿時、瀬戸から施設内のプールの行き方を教えてもらったという。先輩の思いを伝え聞くと「これからコミュニケーションが取れたら」と目を輝かせた。日本代表が目指すのは昨年のブダペスト大会(4個)を上回るメダル5個。目標達成へ、頼れるエースの存在は欠かせない。【松本航】