井村クラブがチームFRを制した。8人が息ぴったりの演技を見せ、2位のミキハウスに8点以上の差をつけて優勝。チームの柱の川瀬由華は「技の1つ1つの難度を明確にすることはできた」と胸を張った。

試合前はチームメートの心に乱れがあった。大会1日目のチーム・テクニカルルーティンで優勝を逃した敗北感が、最終日にも尾を引いていた。そんな雰囲気を感じ取った川瀬は、積極的な声かけで鼓舞。FRでの貫禄勝ちに導いた。

国際水連は昨年10月にルール改正を決めた。審判が演技を「10点満点」で採点する方式から、フィギュアスケートのように技ごとの難易度を決めて個別に採点する要素が追加された。今大会ではこの新ルールが採用され、課題も感じた。川瀬は今後へ「表現がおろそかになっていた。1つの作品として、見る人にどう伝わるかを大切にしたい」と表現力の向上に意欲を示した。

○…新たな採点方式による今大会は、難度の高い足技を数多く組み込んだルーティンが目立った。デュエット・フリールーティン2位のミキハウスの稲富愛佳は「難度の高い技を入れるとなると、同じような振り付けしかできず、以前より面白みがなくなった」。ペアを組む内田桜子も「ASは『芸術的な水泳』という名前なのに、人に見せるところまでは到達できなかった」と打ち明けた。高難度の技と芸術性の両立という課題も垣間見える大会となった。

◆ASの新たな採点方式 国際水連が昨年10月に決定。従来は審判が主観で演技をトータルで評価し「10点満点」で採点していたが、新ルールでは技術+芸術性の「2階建て」となり、技術(難易度+完遂度)を見る審判、アーティスティックインプレッション(芸術性)を見る審判がそれぞれつけた得点を合計。最後に同調性のズレを減点する。従来の「100点満点」による採点ではなく、フィギュアスケートのように得点が加算される方式で、採点のわかりにくさを解消する狙いがある。