池江璃花子(23=横浜ゴム)が、17年以来6年ぶりに世界選手権に帰ってきた。

競泳が開幕して、池江は白血病からの復帰後初めて個人種目で世界舞台。最初の種目である女子100メートルバタフライ予選は、58秒61で全体の17位。わずか0秒05差で上位16人が進出する準決勝は逃したが、22年ぶり自国開催の福岡で大きな歓声を浴びた。個人では残り3種目にエントリー。24年パリ五輪に向けて、1歩1歩着実に進んでいく。

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胸につけた日の丸とともに、池江は入場した。6年ぶりの世界選手権。数々の舞台を踏んできた23歳もスタート台で「今まで経験したことのないような緊張を感じた。泣きそうになった」。スタートで遅れて得意の後半に巻き返しを狙ったが、58秒61。4月の日本選手権で記録した白血病からの復帰後ベストとなる57秒68に届かず、準決勝を0秒05差で逃した。それでも大きな拍手を送られた。

リレー種目のみで出場した東京五輪は無観客開催だった。20日の公式練習では「いろんな人にレースを見てもらえる。楽しみ」と話していた。最初の種目で、まず全力の泳ぎを見せた。

世界選手権は、特別な大会だ。初めて日の丸を背負ったのが、中3だった15年大会。白血病のため入院中だった19年大会では、テレビ画面越しに女子100メートルバタフライのメダリスト3人が手のひらに書いた「NEVER GIVE UP」の文字で励まされた。池江も自身のSNSで「thank you love you guys(愛しています)」と反応。かつて合同合宿をしたショーストロム(スウェーデン)らのエールが励みになった。

あれから4年をへて、個人としてライバルたちと同じ舞台に帰ってきた。今大会は個人4種目にエントリーしており、リレー種目でもフル回転をする覚悟だ。

自国開催の世界選手権は、始まったばかり。「やるべきことはやってきた」という自負はある。初日の緊張も「今回、経験しておいて良かった」。今大会の本命種目に据える50メートルバタフライに向けて「響かせないように」。池江の夏はこれからだ。【竹本穂乃加】