来夏のパリ五輪予選として開催されるW杯バレーが、いよいよ開幕する。

女子は16日、男子は30日に、ともに東京・代々木第1体育館で幕を開ける。先陣を切る女子日本代表(世界ランキング8位)の初戦の相手はペルー。92年バルセロナ五輪以来となる大会1年前の出場権獲得を目指すチームのキーマン紹介「火の鳥の羽」の最終回は、古賀紗理那(27=NEC)。主将としての覚悟を胸に、パリへけん引する。

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火の鳥NIPPONの絶対的大黒柱、アウトサイドヒッター古賀紗理那。2度目の代表主将として迎えた今季、チームを背負う自覚は日に日に増している。五輪切符獲得に向け「チーム力はまだまだ。もっとコミュニケーションを増やしていきたい」と、一致団結のために目の色を変えている。

世界で勝てるチームの共通項は、個々の能力に加え、考える力という。「何も考えてない選手は自分の意思で動けない。人任せにする選手がコートに立っていたら絶対に勝てない」。気になる点があれば、練習だけでなく試合途中でも問いかける。「何で点を取られたと思う?」「そのポジションにいたのはなぜ?」。自ら考えられるようになるために、あえて問いかける。

主体性の重要さは、自身の経験から学んだ。「変わりたいと思ったら、自分から動かないとダメ。結局自分次第なんだ」。コロナ禍。体育館も使えず、チーム練習もままならない時期があった。そんなピンチを逆にチャンスと捉えた。股関節や臀部(でんぶ)のストレッチなどに多くの時間を費やし、たとえ1人の時間でも有効活用する意識を強くした。長く悩まされてきた腰痛は、みるみるうちに改善。「やらされる」ではなく「やる」。自分で考えたトレーニングが実を結び「あの時、本当に自分の意識次第でいろいろ変わるなと感じた」とうなずいた。

大きなプレッシャーがかかる立場だが、心強いパートナーがいる。昨年大みそかに男子代表の西田有志との結婚を発表。プレーの助言をもらうことはもちろん、愚痴を聞いてもらえることでも支えられている。「私の性格を分かっていて、ただ『うんうん』って聞いてくれる。助かっていますね」。夫婦での五輪出場もモチベーションの1つだ。

7月まで行われたネーションズリーグでは、チームトップで全体9位の209得点を挙げた。それでも慢心はない。「勝負どころで確実に点を取ることを意識したい」。主将としてのリーダーシップ、そしてエースの一打が、チームを引き上げ、勢いづける。【勝部晃多】