もう歯車は狂わせない-。2大会連続の五輪出場を目指す男子日本代表(世界ランキング5位)が、難敵トルコ(同15位)をストレートで下し、2連勝で3勝1敗とした。格下エジプトに敗れて背水の中、高橋藍(22=モンツァ)が攻守にわたる活躍でチームをけん引。負けられない最後の3連戦へ「戦っていけると証明できた」と弾みをつけた。現在4位からパリ切符を得る上位2チーム入りへ、6日は同9位のセルビアと対戦する。プールB首位の米国はチュニジアに、2位スロベニアはエジプトにそれぞれ勝ち4連勝とした。

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両手を目いっぱい広げ、満面の笑みでコートを駆け回った。崖っぷちからの2戦連続ストレート勝ちで息を吹き返した日本。歓喜の輪の中心には、高橋藍がいた。ブロック1本を含むチーム3位の11得点。「むしろここからが自分たちの戦いだと思っていた」と力を込めた。

華麗に舞った。第1セット(S)、自らスパイクを打つと見せかけて空中でトスを上げるフェイクセットを披露。西田のスパイクをアシストして5連続得点につなげると、要所では技ありの軟打や強烈なバックアタックも決めた。第3Sの15-15の場面では、再び西田とのコンビでフェイクセットを決め、一気に勝利への流れを呼び込んだ。難敵をストレートで退け「いいリズムを作れた。次につながっていく、いい試合」と胸を張った。

試合前時点でチーム最多52得点のアタック力に注目が集まるが、得意のディフェンスでも輝きを放つ。この日も、第1S終盤にブロックがはじいたボールを左手1本でフライングレシーブ。相手エースのA・ラグンジヤらの強烈なスパイクに再三食らいつき、ディグの成功率は100%を記録した。日本が武器とするつなぎのバレーを支え、ブラン監督からは「藍は(リベロの)山本とともにディグで石川の負担を減らしてくれている。さらにブロックも成長した」と称賛された。

21年東京五輪をへて、日体大に在籍しながら世界最高峰のイタリアリーグに移籍。海外でもまれ、自信をつけた。「海外選手のスパイクを取ってきて、打つコースが分かるようになってきた」。より意識するようになったのは、観察。「打つ前の肩の動きだったり肘の向きを見る。相手をよく見ることは常に意識している」。スパイカーのほんのわずかな体の動きからコースを読むことを徹底する。

休養日を挟み、6日セルビア、7日スロベニア、そして8日に米国と上位国との対戦が待つが「いいリズムができた」と、勝利へのイメージはできてる。負けられない戦いへ-。もう流れは渡さない。【勝部晃多】

▽OH石川(チーム2位の14得点)「僕のパフォーマンスは日に日に良くなっている。昨日よりも今日の方がいい。少し遅くなってしまったけれど、点が取れなかった1、2戦目から上がってきたし(正念場3戦へ)もっと良くなっていく」

▽ブラン監督 トルコ相手に3-0は満点をあげたい。ブロックがカギだった。ブロックがコースをふさげば、間にディフェンスが入ったりできる。ブロッカーが機能したからこそのいい守備があった。いいバレーをするための自信を取り戻せた。

◆W杯バレー順位決定方法 (1)勝敗、(2)勝ち点、(3)セット率、(4)ポイント率の順で決定。勝ち点の獲得条件は【3-0または3-1で勝ち】=3点、【3-2で勝ち】=2点、【2-3で負け】=1点、【1-3または0-3で負け】=0点。

◆パリ五輪への道 パリ五輪出場枠は開催国フランスを含む12。五輪予選のW杯バレーは、世界ランキング上位24カ国が8カ国ずつ3組に分かれ、総当たりで対戦。ブラジル(プールA)、日本(同B)、中国(同C)で開催され、各組上位2カ国の計6カ国が出場権を得る。残る5枠は、来年のネーションズリーグ(VNL)予選ラウンド終了時(6月)の世界ランキングで決定。日本がW杯バレーで出場権を逃した場合はVNLに出場し、ポイントを重ねてランキングをより上位に上げることが必要。W杯バレーでの大陸別の切符獲得状況も、重要な要素となる。