日本(世界ランキング4位)がスロベニア(同7位)に3-0でストレート勝ちし、パリ五輪(オリンピック)出場が決まる2位以上を確定させた。1992年バルセロナ大会以来、男女を通じて32年ぶりとなる「五輪前年の切符獲得」を成し遂げた。

試合後、歓喜の選手たちが収まった集合写真の最前列には、背番号3のユニホームがあった。

21年東京五輪の日本代表セッターで、今年3月10日に31歳で、胃がんで亡くなった藤井直伸さんのものだった。

高橋藍が「藤井さん、やったよー! 見てるー?」と叫べば、同じ司令塔のセッター関田誠大は涙ぐみ、言葉にならない声を振り絞った。

「藤井さんがいたかった場所に、俺も立てて。頑張った結果。運命、タイミングだったんじゃないかと思います」

試合後の取材エリアでも藤井さんへの感謝が、あふれ出た。

「一番はやっぱり、今日勝った瞬間に藤井選手の顔が思い浮かびました。藤井選手と過ごした日々であったり、いろんな思い出を。藤井選手は年も離れている分、お兄さんよりも上な感覚があったので、本当にいろんなお世話をしてもらっていましたし、かわいがってもらっていたので。勝った瞬間、そういう思い出があふれ出てましたし。やっぱり、特に今日の試合、1本ずつ取るたびに苦しい状況だったり、自分たちが流れをつかんでいるタイミングだったり、そういうところでも藤井選手と一緒に戦っている気持ちは常にありました。本当に藤井選手ってところに気持ちを押されながら、自分たちが背中を押されながらプレーできたのかなと思います」

「藤井選手は常に前向きで。特に悩んでるっていう感覚がなくて。僕が見ていた感じでは。藤井選手はすごくポジティブ思考だし、すごく前向きなことを言ってくれるので。僕がしんどい状況の中でも『藍、大丈夫だよ』『次の試合だよ』みたいな。『お前、できるから』みたいな感じだったので。それは非常に、今の自分の気持ちの強さというところは、藤井選手からすごく学びましたし。そういう一言にすごく救われたことを覚えているので、常に藤井選手が味方でいてくれたというか、背中を押してくれたこと思い出しましたね」

【動画】「藤井さんやったよ!見てるー!」髙橋藍が試合直後インタビューで天国へ絶叫