ショートプログラム(SP)首位の佐藤駿(19=エームサービス/明治大)が“自己ベスト”で頂点に立った。

フリーもトップの186・99点を記録し、国際スケート連盟(ISU)非公認ながら自己新となる284・87点。2位の220・27点で吉岡希(法政大)に64・60点差をつける出来で「昨季はノーミスの演技で180点ぐらいが限界だった。『(スケート技術などが評価される演技構成点を含めて)上手になってきている証拠かな』と思います」と手応えをつかんだ。

前日のSPに続き、2つの演技を完成度高くそろえたことに価値がある。フリーは冒頭の代名詞4回転ルッツで3・22点の加点。2本の4回転トーループを含めて、ジャンプ7本全てで加点を引き出した。一方で1つのスピンとステップはレベル3(最高は4)。伸びしろを残した状態だからこそ「これ以上できることがたくさんある。もっともっと頑張りたい」と意欲は増している。

前夜はライバルとして切磋琢磨(せっさたくま)してきた鍵山優真(20=オリエンタルバイオ/中京大)が、2季ぶりとなるグランプリ(GP)シリーズのフランス杯で97・91点を記録。リアルタイムで見守ることはできなかったが、結果を知って「4回転1本でも97点。僕にはまだ、そういった力が足りていない。追いつけるようにしたい」と刺激も得た。

自身も今季はGPシリーズ第1戦スケートアメリカで3位。次は第5戦フィンランド大会(17~19日、エスポー)に出場予定で、シリーズ2戦上位6人が対象となる2季連続のGPファイナル(12月、北京)も現実的な目標となっている。

「ショート、フリーをそろえられて、技術的にも成長できた。次の試合に向けても、すごくいい滑り出しで段階を踏めていると思います」

派手に喜ぶ姿はないが、実りある2日間。世界の舞台へ、大きく羽ばたく準備ができた。【松本航】