男子は、漫画「スラムダンク」の作者・井上雄彦さん(56)の双子の次男慶邦主将(3年)率いる駒大苫小牧が、決勝リーグ3戦全勝で3年ぶり2度目の優勝を飾った。井上はこの日の2試合ともスタメンを外れたが、札幌工戦の終盤に出場、勝利に貢献した。

コートにいた時間は短くとも、父の描いた天才シューター三井寿と同じ、背番号14の存在感はひときわ光った。味方のシュートが決まると「次はディフェンス!」とベンチから大声を張り上げる。逆の時は「ここで暗くなっちゃダメだぞ」とチームを鼓舞する。井上は「入学してから北海道で1位になったのは初めて。感じたことのない気持ちになった」と感涙にむせんだ。

今大会5試合、出場時は「理想」という三井ばりの3点シュートも決め、ディフェンスではボールを持つ相手をしつこく追い回し、相手攻撃の威力を半減させた。「大会を通じて、自分の実力を発揮できたと思います。これを全国の舞台でも出せるようにしたい」と、気持ちを新たにした。

東海大札幌戦で、チーム日本人選手最多の21得点を挙げたゲームキャプテンの滑川凌空(3年)は「コート内のことは自分の責任ですが、それ以外は井上に頼りっぱなし。常にチームを支えてもらった」と感謝する。田島範人監督(48)は「練習からひたむきに体を張って頑張る子。チームの象徴みたいな存在」と評価した。

米国にバスケ留学中の双子の兄大道さんとオンラインや帰国時に情報交換し、お互いを高めてきた。1年生の時からチームランニングは常に先頭集団。今春の指揮官不在の3カ月は「練習中に(選手同士で)言い合ってバラバラになりそうな時期もあった」が、3年生だけで28人という大所帯の部をまとめきり、今大会の優勝につなげた。

「インターハイは(初戦敗退で)悔しい思いをしたので、チームとしてずっと掲げているベスト8は達成したい」。地元・東京体育館で、高校生活最後の勇姿を父の前で見せる。

男子は、駒大苫小牧のほか、決勝リーグ2勝1敗の東海大札幌が、第2代表として全国大会(12月23日から、東京体育館)に出場する。