男子100キロ級の東京オリンピック(五輪)金メダリスト、ウルフ・アロン(27=パーク24)が準々決勝で敗退した。さらには敗者復活戦でもオランダ選手に背負い投げで一本負け。表彰台を逃した。

1回戦はジョージア選手を相手に支え釣り込み足で一本勝ち。2回戦も本戦4分間の残り10秒を切ったところで、カナダ選手を相手に肩車で技ありを奪った。3回戦では韓国選手に大内刈りで技あり、大外刈りで技ありの合わせ一本。8強入りしていた。

しかし、準々決勝ではイタリア選手に早く仕掛けられ、技ありも取り消されるなど巻き返せず。指導3の反則負けで力尽きた。

昨年も敗れていた相手で「去年よりはうまく試合を運ぶことはできたんですけど、最後の最後で…。やっぱり先に技かけても相手がかけてつぶれるタイプの柔道なので、そういったところで、見栄えとしても、最後は避けられてるところで指導が積まれてしまいました。もう少し、スタミナっていうところを練習してきていれば、あそこでもう1つ、2つ、技が出てたんじゃないかな」と悔やんだ。

自国開催で頂点に立った21年東京五輪の後は、競技普及のためメディア出演に注力。体重も激増し、復帰が昨年10月まで遅れた。以降は国際大会5戦で優勝はなし。「考えなくても、心の底に満足しちゃってる部分とかあったのかな」という日々を送ってきた。

直近では9月の杭州アジア大会(中国)でも準々決勝で敗退。この大会でも結果が出なければ、目指す来夏パリ五輪代表の座には届かない覚悟だったが、遠のいた。

その切符を争う、この階級では1番手だった飯田健太郎(25=旭化成)は2回戦敗退。植岡虎太朗(23=日本製鉄)も3回戦で敗れた。

「特に、他の選手の試合は。自分のやることをしっかりと見ることの方が大事なんで、そこはあんまり考えずに」

自身にフォーカスこそしていたが「準備のところでは、かなりしてきたなっていうところはあったんですけど、それでも競り負けてしまうところがあったので…。ちょっと今そこまで深く考えることはできないんですけど、いま一度、考えて、今日の負けをどういう風にこれから先につなげていくのか考えていきたい」と振り返った。「どこを目指してやっていくのかっていうところも、いま一度、考えたいなと思います」とも話した。

東京五輪後の2年間については「うまく試合で勝つことができず、もどかしい気持ちだったり苦しい気持ちだったり、いっぱいしましたし、いい2年間だったとは言えないですけど。まあ、そうですね、苦しい2年間だったかなって思います」と打ち明けた。

パリ五輪への思いに関しては「目標を決めないと、そこに向かってモチベーションも上がっていかないので。パリのオリンピックで2連覇するっていうのを目標にやってきた感じ」とした。

一方で最も若い世界ジュニア王者の新井道大(18=東海大)は決勝へ。3回戦で日本出身のベテラン高橋徳三(米国)に内股で一本勝ちし、準々決勝でオランダ選手を隅落としの技ありで下した。準決勝もイタリア選手に内股で一本勝ち。互いに勝ち上がればウルフと準決勝で当たる組み合わせとなっていたが、大学1年の新井が衝撃的にファイナルへ勝ち残った。【木下淳】