柔道のグランドスラム(GS)アンタルヤ大会第1日は29日、トルコのアンタルヤで男女計5階級が行われ、男子66キロ級の阿部一二三(パーク24)が全5試合一本勝ちで優勝した。決勝ではタジキスタン選手を下した。

妹の詩も女子52キロ級で全5試合一本勝ちでV。ともにパリ五輪代表に内定しており、兄妹そろって2連覇を目指す五輪へ、最後の実戦で勢いをつけた。

阿部一は、昨年12月以来の試合出場で「しっかりと自分の柔道をして勝ち切ることを前提に、パリ五輪に向けて勢いをつけられる大会にしたい」と静かに闘志を燃やし、圧倒的な強さを見せた。

英国選手との初戦は鋭い投げ技を決めた。続く3回戦では「良くなってきた」という足技で攻め、モロッコ選手を鮮やかに畳に沈めた。準決勝は激しい組み手争いで挑んできた昨年世界選手権3位のキヤー(フランス)を裏返しにさせ、決勝は接近戦から49秒で決着。涼しい顔を崩さず、5試合オール一本の完璧な内容で締めくくった。

世界選手権は2連覇中。向かうところ敵なしの王者は、手の内を隠すつもりはない。「どの角度からでも入れる技、ちょっと組み手が厳しくても入れる技を今以上に試合で出せるように仕上げていきたい」。堂々とした姿で頂点に立った。