26年ミラノ・コルティナ五輪開幕まで、12日であと300日となった。フリースタイルスキー・モーグルで22年北京五輪銅メダルの堀島行真(27=トヨタ自動車)がインタビューに応じ、3年前からの成長と変化を明かした。今季はW杯総合2位で、3月の世界選手権では金メダルを獲得。新種目が加わる1年後の舞台で、モーグル初の2大会連続メダルを狙う。
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300日後に迫る3度目の五輪。前回大会銅メダリストの堀島が、リベンジに燃えている。「金メダルの滑りを目指す」。短い言葉に、決意がにじんでいた。
1歳からスキーを始めて26年。「勝ちへのこだわりはあまりなかった」。競技人生を冷静に振り返る。20歳で迎えた18年平昌。世界選手権王者として優勝を期待されたが、転倒。11位にとどまった。ただ「競技を楽しんで、新しい技に取り組むこと」に重きを置く姿勢は貫いた。
転換点は22年北京での銅メダル。表彰台の一番低い位置に立ち、知った。「五輪王者になるには、それだけじゃダメ。勝ちにこだわらないと」。勝負師として、目覚めた。
北京後は頂点を強く意識した。昨季は日本男子初のW杯種目別優勝を達成。「すごく自信になった」と喜んだ。今季もW杯4勝を挙げ、日本歴代最多の22勝を積み重ねた。世界選手権ではモーグルで金メダル。来年五輪から採用される、2人同時に滑り1対1で争う「デュアルモーグル」では銀。好成績に手応えを感じた。一方で、高い壁を越えられていない自覚もある。
18年平昌金メダルのキングズベリー(カナダ)と、22年北京金のバルベリ(スウェーデン)。特に前者は今季W杯9勝を挙げ通算99勝で「冬のスポーツでどの選手よりも勝っている」と警戒する。打ち勝つためには「動きの繊細さ、斜面を滑るフォームのきれいさ、同じ精度を出せる安定性…」。残り1年で解決すべき明確な課題が口をついた。
もう1つ、壁がある。最終戦でエアの着地に失敗し、左膝を負傷。「今は歩行が難しい」と、リハビリに約2カ月を要す見込みだ。ただ「手術はせずに済んだ。しっかりと治していきたい」と前向き。6月上旬からトレーニングを再開予定で「想定と違うスタートになるが、本格的な準備ができれば」と思い描いた。
3年間で環境も変わった。22年11月、女子モーグル北京五輪代表の住吉輝紗良さんと結婚。第1子も誕生した。父になり「心が落ち着いた。ネガティブな要素に動じなくなった」と強くなった。今季はフィンランドやスウェーデンの遠征に家族3人で移動。「大会に集中することがいかに大変か、元競技者の妻自身がよく分かっている」。大きな支えとともに、成績も上向いた。残すは300日。表彰台の頂点で4年間の成長を示す。【飯岡大暉】
◆堀島の22年北京五輪 日本勢大会第1号の銅メダルを獲得。予選1回目は16位で一発で決勝に進出できなかったが、2回目を5位で通過。決勝の3回目で81・48点をマークした。
◆堀島の18年平昌五輪 前年世界選手権王者として臨み、メダル候補と期待されたが11位。決勝2本目の1回目のエアの着地で乱れて転倒し、途中棄権した。原大智が銅メダルを獲得。
◆堀島行真(ほりしま・いくま)1997年(平9)12月11日、岐阜県池田町生まれ。両親の影響で1歳からスキーを始める。岐阜第一高-中京大。初出場の18年平昌五輪は転倒が響いて11位。22年北京で銅メダル。今季は世界選手権で金メダル。W杯日本歴代最多通算22勝。趣味はけん玉。身長170センチ、体重66キロ。


