<フィギュアスケート:NHK杯>◇2日目◇23日◇名古屋・日本ガイシアリーナ◇女子フリー

 昨季世界ジュニア女王の村上佳菜子(15=中京大中京)が、シニアのグランプリシリーズ(GP)デビュー戦で銅メダルを獲得した。22日のSP2位から、この日のフリーで逆転優勝を狙ったが、3度のジャンプ転倒などが響き、94・06点で計150・16点の3位。史上初の初出場Vはならなかった。

 表彰台では明るい表情も見せた。15歳の村上が、シニアのGPデビュー戦でメダルを死守した。

 村上

 出来としては満足していないが、表彰台に立ててうれしい。表彰台はすごいな、大きいなと思った。メダルはちょっと、重いですね。

 冒頭の3-3回転ジャンプは決めた。ただ、その後はジャンプで3度も転倒した。フリーに限れば5位。ほろ苦い内容に終わった。「3-3回転は自信があった。いつも失敗するのはその後のジャンプ。大きな試合とあって緊張していた。思ったようにできなかった」。演技終了直後はトレードマークの笑顔が消え、悔し涙も流した。

 開幕前日の21日には「表彰台はたぶん無理」と語っていた。浅田や、バンクーバー五輪金メダルの金妍児も果たせなかったGP初出場優勝は逃したが、想像以上の結果が残せた。「あこがれの存在」という浅田を順位でも上回った。

 収穫もあった。「ジュニアの時より(フリーは)30秒長い。その分、待ち時間が増えたので気持ちの持って行き方が勉強になった」。出番を待つ間、靴を脱いでストレッチしたり、音楽を聴いたりして、気持ちを高めていた。

 浅田真央らを育てた山田満知子コーチの村上評はこうだ。「真央はとってもまじめ。カナ(村上)もまじめだけど、タイプが違う。ゆとり、遊びがある」。例えば練習中に小塚崇彦のマネをしたりするという。そして笑顔を忘れない。小学校の時、全日本ノービス選手権(ジュニアの下のカテゴリー)で優勝候補に挙げられながら2位に終わった。それでも「失敗は誰にでもある」と、落ち込む知人を逆に笑って励ました。

 次に出場するGPは11月のスケートアメリカ。結果次第で、GPファイナル出場も見えてくる。「アメリカではパーフェクトの演技をして、また表彰台に立ちたい」。14年ソチ五輪の期待の星が、今後への可能性を示した。【大池和幸】