柔道全日本選手権(4月29日、東京・日本武道館)の予選を兼ねた都選手権が13日、東京・足立区の東京武道館で強行開催された。

 8年ぶりに優勝したのはアテネ五輪100キロ超級金メダルの鈴木桂治(30=国士舘大教)。「仙台の叔母(岩間マキさん)と連絡がつかず茨城の実家も屋根瓦が全部壊れた。友だちも岩手・大船渡の実家に連絡が取れない。その中で試合をするのは心苦しかった」。

 会場は前日12日午前11時まで帰宅困難者に開放。渡辺軍三大会副委員長は「交通機関も回復し、ほかにやれる期間もない。選手のためを考えた」と説明。東京電力の要請で照明は通常の4分の1。窓を全開にして自然光を取り入れた。

 鈴木

 中止にした方が良いんじゃないかと思っていました。被害者の感情も大事。もちろん柔道も大事だけど、それより大事なものがある。でも、やるとなった以上、選手としては…。

 午前10時すぎには余震で会場も揺れた。緊急地震速報のアナウンスが流れ試合も一時中断。途中休憩をはぶく異例の運営。鈴木は「いつになるか分からないけど被災地で柔道教室を開くなり、何かできることをしたい」。